脱出せよ! 【完】

□始動
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緑間、火神、黒子、紫原、奈央チーム

緑間side




この教室に来て数分

拳銃と、拳銃の予備の弾がいくつか見つかり、他にもAと書かれたカギと簡易救急セットが見つかった




「やけに静かね…」




教室内を物色する音は隣の赤司達がいる教室からも聞こえるが、それ以外の物音はしない




「34体やって、残りは65体…なのに、モンスターらしき物音1つのしないなんて…」




耳が異常にいい奈央先輩は、感知役として、警備する火神の側で周りを探っていた




「火神くん!!」




教室内を物色していると、麻紀の声がオレ達の耳にも届いた




「こっちの部屋でライフル用の予備の弾を見つけた!」

「こっちでも、拳銃用の弾を見つけた。黄瀬の所も見つけたみたいだ!」

「今からそっちに向かう!」

「大丈夫かよ!?」

「こっちの部屋でもう一丁拳銃を見つけたから大丈夫!」




静かなせいか、火神と麻紀の会話がフロア内に響く




『火神、予備の弾だ』




見つかった予備の弾の4つの内の2つを火神に手渡した

火神達の会話を聞く限り、麻紀の所で拳銃が見つかったが、予備の弾はライフルの物だけだと予測する

ウチの所でも拳銃は見つかったが、一丁だけだ

弾が多いに越したことはないが、誰か一人でも多く残るために、出し惜しみは不要だろう

火神に予備の弾を手渡した後、再び物色しようと背を向けると、直後に背後から発砲する音が聞こえた





『何事なのだよ!?』

「麻紀がこっちに向かって来たんだけど、隣の教室からモンスターが現れたの!!」




火神の隣でその様子を見ていた奈央先輩が状況を教えてくれた

奈央先輩が指さした教室はスタート地点であった教室だ





『何っ!?あの教室のモンスターは全て倒したハズじゃ…!』




オレ達があの教室を出る時、その場にはモンスターなどいなかった




「これはゲーム!なんでもアリってことなんでしょ」

「麻紀さんは大丈夫なんですか!?」





黒子の問いかけに答えるように、火神の前に麻紀が姿を現した

麻紀は右腕にケガを負ったが、特に問題はないとのことで、弾を受け取るとすぐに戻って行った




「何なの…もう〜」




いつもは、我関せずな紫原も状況判断ができないほどバカじゃない

普段からゆっくりと動く紫原も、今日ばかりは黒子と共にテキパキと教室内を物色している

だが、あり得ない状況に頭を抱え、デカイ体を丸めていた





「休んでいるヒマはありませんよ、紫原君。ボク達は1つでも多くのアイテムを探しましょう」

「うん…」




いつもなら、何かと突っかかってくる紫原も今回は素直に返事をする

今はそれほどの状況なのだ

オレもボケっとしていられない

その様子に、改めて気を引き締めた









それから数分後

今度は赤司達の教室の方から銃声が響いてきた




『今度は何なのだよ!?』

「赤司達の教室の掃除用具箱からモンスターが現れたらしい!!」




火神の声でみんな目線を用具箱に向けた

幸い、オレ達の教室の用具箱はピクリとも動かない

必ず用具箱からモンスターが出現するとは限らないのだろう

だが、厳重に警戒するに越したことはない





『黒子、オレの側にいるのだよ』

「はい」




武器を持たない奈央先輩には火神

黒子には拳銃を持ったオレが近くにいた方がいいだろう




『けど…なぜお前まで近寄るのだよ、紫原』




紫原はオレを盾にするように、黒子と共にオレの背後に隠れた

だが、残念なことに、紫原の巨体ではオレの後ろにその体を隠しきれずにいた




「だって〜、オレも一応武器持ってるけど斧だし〜」





何も持っていない先輩や黒子よりマシだが、斧は接近戦向き

下手すれば返り討ちに遭う可能性だってある

投げ飛ばせば接近せずに済むが、殺傷能力は半減する

そのため、仕方なく紫原と黒子を背後に隠し、教室内を見渡した

しばらくすると、赤司達の教室から発砲音がしなくなった




「56ですか…」




カウント計は56を指していた





『さっき火神が倒した1体を除くと8体…赤司の所で現れたモンスターの数は8体と言うことか』




このゲームが開始されて約30分

残りのモンスターは56体




「序盤で結構出てきたねぇ〜」

「はい。けど、残念なことに隠された“ある言葉”が全く見つかりませんね…」




マスターの言っていた“ある言葉”

その言葉が何文字なのかもわからなければ、検討もつかない





「火神っち!!」

「うおっ!?黄瀬!?」




頭を悩ませていると、突然黄瀬が現れた




『何なのだよ、突然!』

「コレを渡しに来たんス」




黄瀬が抱えていたのは、4つのトランシーバーだった




「あと2つは今から麻紀っちの所に渡しに行くんで、この2つは緑間っち達が持ってて欲しいっス」

「なるほど、そうすればお互い連絡が取り合えるんですね」

「そーゆーことっス!」



黄瀬はトランシーバーを置くと早々に教室を出て麻紀の所に向かった

とりあえず、スイッチを押すと赤司の声が教室に響いた




〈もしもし?〉

『赤司か?』

〈ああ、その声は緑間だね?どうだい?そっちでは何か収穫はあったかい?〉

『こっちでは、拳銃と予備の弾、それから簡易的な救急箱、そしてAと刻まれたカギを見つけたのだよ』




すると、赤司が答える前に、別の声が挟んできた




〈そっちでカギ見つかったの?〉

〈その声は麻紀か?〉

〈そうでーす!〉




麻紀の声が聞こえたと同時に黄瀬がオレ達の教室を横切って行くのが見えた

きっと役目を終えたのだろう




〈では、先に進もう。みんな各教室をくまなく探し尽くした頃だろう〉

『ああ、おそらくな。次出てくるとしたら、最悪モンスターだろう』




それほど、何度も教室内を探し尽くした

もう何も出てこないだろう

モンスターを倒さなければならないが、出来ればご遠慮願いたい




〈トランシーバーを手にしたことで、各チーム、さらに2つに別れよう。オレ達の教室の前に階段がある。オレ達は二手に分かれて、上と下に進もうと思う。麻紀達は少し先にある階段から、上下に分かれてくれ。緑間達は麻紀達の隣の教室とオレ達の隣の教室でアイテムを探して欲しい〉

『わかったのだよ』

〈了解!〉

〈だが、マスターの言っていたように、どこかでドアが現れると思う。@のカギはオレが、Aのカギは緑間達が持っているのだろ?とりあえず、ドアが出現した所で連絡し合おう〉




トランシーバーを火神にも渡し、火神と先輩

オレと紫原、黒子で左右に分かれることにした




「じゃあ、気をつけてね」

「奈央ちんもね〜。ついでに火神も〜」

「ついでかよ!まぁ、お前らも気をつけろよ」

『当然なのだよ。お前こそ先輩放り出して逃げるなよ』

「そんな事するかよ!!」

「気をつけて下さいね」




さぁ、出発しよう
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