短編

□真っ赤な嘘をつく。
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※ぬるーーくエロです。



















朝起きると知らない裸の男がベッドにいた。





こういうとき、悲鳴をあげたりするもんだと思っていたのだが、案外そんなことはないらしい。


というのも昨日は五年間付き合っていた彼氏に浮気されフラれたため、大いに荒れて酒を飲んでいた。


つまり衝撃うんぬんよりも二日酔いの方が酷かったわけだ。




「気持ち悪…。」


これが私の第一声だったわけだ。




トイレでスッキリ胃の中の全てをぶちまけ、胃薬を飲んでシャワーを浴びたころには冷製にこの男のことを考えれるようになっていた。


超絶スルーしてたけど、そういやコイツ誰なんだ。


ついでに起きたとき、私も素っ裸だったため、コイツと何をやらかしたか大体想像はついてる。



ミネラルウォーター片手に寝顔を覗き込むとまぁまぁのイケメンのようだ。


黒い髪は長めで、図体はまぁまぁゴツい。

なんていうかハーフ顔だった。



こんだけゴツいやつだったらちんこもでかかっただろうなぁ、なんて思ったけど全く覚えてない。



昨日別れた元カレともしばらくご無沙汰だったため、そーいうことをシた後の感覚もわからなくて、コイツと私は本当にヤっちゃったのか?って感じ。





そんなことをぼやぼや考えてたら


「んん…」


と声が聞こえて、男が起きたようだ。


あ、瞳がブルーだ。

本当にハーフなのかも。



「あれ?朝?」


男は目をこすって上体を起こした。



たくましい身体してんなコイツ。

年齢は…いくつだろう?

ケッコー若く見える。



「花子さん、大丈夫スか?」


「ま、まぁ、それなりに?」



この男、さらっと私の名前を呼んだが、私はこの男の名を知らない。

というか、覚えていない。



「えー…大変申し訳ないんだけども、私、昨日のこと覚えてなくて…」



私がそう言うと男は目を丸くした。


いや、結構べろべろだったろうから、そんな驚くこともないでしょうが。


言いたいことはたくさんあったが、とりあえずこの現実をどうにかしたかった。




「あー…オレ、東方仗助っていいます。今年、高校一年になりました。」


「高校!!?一年!!!?」



大学生かそこらだと思ってたのでたまげた。


えっ、ていうか、私、未成年とヤっちゃったわけ?



全身の血がサーッと引くのを感じた。





「本当に昨日のこと覚えてないんスか…?」


仗助という青年は眉を困ったかのように寄せて私を見つめている。


しょぼんとした大型犬を思わせるからホントやめてほしい。




「えーと…昨日って…なんのことかな…?」



乾いた笑いとともに出てきた言葉はそんな感じで、とりあえず未成年淫行なんてめんどくさいことはしてないでくれよ私、と願うばかりであった。



「昨日の花子さん、なんつーかスッゲェエロくて…まぁ見たままです。」



ハイ、未成年とヤってたみたいです。

人生終了ーーー。



頭の中でゴングがカンカンカン!!と鳴り響いた。



仗助青年は頭を抱える私を見てどうしたんスかと言うがどうもこうもない。

ただただヤバい。




「えーとね…仗助君?私ね、昨日酔ってて記憶がなくてね…?」



顔を上げ、そう言うと仗助君は眉を悲しそうに寄せた。



「オレのことあんなに好き好きって言ってくれたのにスか…?」



「うっ……あの…覚えてなくて…ね?」



「あんなにエロいことオレにしっかり手取り足取り教えてくれたのに…?」





そんなことしたのか私。


仗助君は大型犬のごとく私に甘えるように後ろからのし掛かってきた。




「オレ、花子のこと大好きになっちゃったから、お付き合いとかできたらなーとか思っちゃったんスけどー…、どうですか?」



その顔は見えないが、私は酔ってる間にとんでもない男に手を出してしまったようだ。


彼の腕からは自分の家のボディーソープの香りと彼の男を感じさせる匂いが同時にして、見知らぬ高校生をナンパして風呂にまでいれてる昨日の自分にため息をつきそうになった。



しかもこの仗助君、めちゃくちゃカッコいい。


抱きすくめられて、胸の高鳴りが押さえようがなかった。




「仗助君、私、仗助君より全然おばさんだよ?23歳。」



「昨日も言ってたから知ってる。」




自分の心の中で、付き合っちゃえよーと囃し立てる悪魔と高校生と淫行したあげくこれ以上の醜態を晒すのかと叱る天使がいる。




「ダメ…ッスかね…?オレみたいな子どもじゃ…?」



後ろから顔を覗き込まれ、目があった。


じっと見つめるつぶらな瞳。





「あーーーっもう!!!わかった!!!!後悔してもしらないんだからっ!!!!!」



「それってお付き合いしてくれるってコトでいーんスね?」




仗助君は瞳を三日月のように細めて、私にキスをした。



「花子さん、大好き。」





























これだけ聞けばただの花子という女の醜態からの棚ぼたで彼氏ゲットという話なのだが、これにはオレ、東方仗助しか知らない真実がある。



オレは花子さんと結局昨夜、エッチはしていないのだ。


あの夜の真実はこうである。


コンビニからの帰り、路上でゲロを吐きながら倒れる花子さんをオレが発見し、とりあえず名前と住所を聞いて、自宅まで送り届けたものの、お互いゲロまみれになったワケで。

この帰り道に彼氏にフラレてやけ酒してたとか年齢とか聞いた。

お互いゲロまみれと言っても花子さんはどう考えても一人で風呂に入れる状態ではなく、そのくせ風呂に入りたいと駄々をこねる花子さんの要望でまさかの初対面の女と風呂に入る羽目になったわけだ。


ゲスい話だけども、風呂入ってる間、正直めちゃくちゃ興奮した。
だって花子さんめちゃくちゃかわいいし、スゲーオレに甘えてくるし、なにより距離近すぎてめちゃくちゃおっぱい当たってた。


花子さんもそれに気づいてたみたいで、風呂上がったら、そのままベッドまで直行で、さよならオレの童貞とか思ってたら花子さんが思いっきり寝ちゃったっていうホントマンガみたいなオチ。




でもさ、花子さん、彼氏にフラれたの大分気にしてたっぽいし、多分またやけ酒して、道で倒れて、男連れ込むとかホントありそうな話で、正直オレはこの一晩でめちゃくちゃに花子さんに惚れてたからどうしてもお付き合いしたくなった。



嘘も方便っていうしいいよな??


今は赤い顔でため息をつく君に真っ赤な嘘をつきたい。

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