一個旅団兵士長と月の輪

□月の剣10
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その言葉を聞いた瞬間、リヴァイの中の理性が吹き飛んだ。

アイシャをその場に残し、拳を握り締め、立ち上がる。


ゲルハルトは、不適な笑みを浮かべ脇腹を押さえたままリヴァイに向かって、ブレードを振り上げた。

ゲルハルト「ふぬわぁぁぁぁあああ!!!」

奇声を上げながら飛び掛かるゲルハルト。

次の瞬間、リヴァイは目に見えぬ速さで、ゲルハルトの懐に飛び込み、右手の拳をゲルハルトのみぞおちに勢いのまま捩じ込んだ。

ゲルハルト「ヴがっっ!!!」

悶絶する暇を与えず、リヴァイは螺旋状に脚を回し混みゲルハルトの足を祓い体制を崩す。

よろめき、地面に崩れ落ちるゲルハルトの顔面をマウントから十発殴り込み、頭蓋骨を抱え上げ、腕力のまま上から下へ、付き出す膝が下から上へとゲルハルトの顎を蹴り上げた。

ゲルハルトの体が弧を描いて宙に伸び上がり、地面へ落下。

既に意識はないようだ。

リヴァイは自らのブレードを拾い上げ。逆手に構えた。

地面に横たわるゲルハルトの胸めがけて振り上げる。

リヴァイ「終わりだ。」

刃先が寸分の狂いもなく心臓に目掛けられた瞬間――――。

レオン「止めろーーーー!!!リヴァイ!!」

静まり返る空間にこだまする怒号。
ゲルハルトの胸、僅か数ミリで止まる刃先。

リヴァイは声の方を睨み付けると、力を押さえきれず震えるブレードを地面に突き刺した。

リヴァイ「クソが!!!」

ペトラに抱えられながら、レオンは安堵の表情を浮かばせた。

リヴァイはアイシャのもとに戻る。

引き裂かれた衣服を纏い、虚ろな瞳は何処を見ているのか焦点が定まっていない。

リヴァイ「立てるか?」

リヴァイの問いかけに、返事はない。

リヴァイはアイシャを抱き抱えた。

ペトラ「兵長。…………………。」

ペトラは伏し目がちに目線を反す。
リヴァイはペトラとすれ違いながら

リヴァイ「憲兵を呼べ。ノビてるあいつをしょっぴかせろ。」

一言吐いた。

月明かりが差し込む地下に、降り注ぐ夜風が虚しく、妖艶な花個々を揺らし耀かせた。






大規模な大捕物から一夜明けた。

変形するほど顔を張らしたゲルハルトは、手錠を掛けられ、両腕を引かれて兵法審議会議場に連行された。

正面、ザックレー総統を筆頭に、三兵団のトップが顔を連ねている。

ウォール教を束ねる教祖や見知った貴族の重鎮も肩を並べていた。

裁きの場に繋がれたゲルハルトは、明らかに動揺し瞳孔を縮めていた。
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