一個旅団兵士長と月の輪

□蜜月(みつげつ)5
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そうこうしているうちに、馬車はトロスト区の中心街に止まった。

無言で歩くリヴァイを追うように少し離れて歩く。

久々に兵団から離れて歩く街は懐かしくもあり、新鮮に感じた。

少し、町外れに差し掛かった路地裏にある酒場に着いた。

リヴァイは躊躇なくそこに入る。アイシャも、抵抗はあったがついて入る。

こじんまりした店の中に小さなテーブルがいくつか並び、男女問わず、常連ぽい人たちが酒を酌み交わしていた。

店の片隅の席にリヴァイは腰かけるとすぐに、店の主人がやって来た。

店主「リヴァイ兵長さんじゃないですか。お久しぶりだなぁ!ご無事で何より。」

店主とは顔見知りのようだ。

リヴァイ「ああ。長いこと来てなかったからな。久々の休暇になったからあんたの面拝みに来た。」

店主「そう言って来てくださるなんてありがてえ。おや、これは目を見張るベッピンさん連れて、旦那も罪におけねぇなぁ!」

リヴァイ「そんなんじゃねーよ。ただの部下だ。いつものやつあるか?」

ただの部下。うん。確かに。少し、リヴァイとの距離が縮まったように感じていたが落胆する。

店主「久々に飲んでもらうからな!サービスするぜ!浴びるほど飲んで行きな!」

そういうと、店主はありったけのビンをテーブルに豪快に置いていった。

アイシャ「久々にって、言ってましたが、前はよくこのお店に来ていたんですか?」

リヴァイ「そうだな。上に来てから仲間3人で始めに来た店だった。店主のジジイの愛想がいいからな。気に入ってそれなりに来ていた。」

何処か懐かしそうな顔をして話すリヴァイ。

開けられた瓶から、アルコールの蒸発する匂いがする。
ビールにワイン。アイシャにとっては酒を飲むことも酒場に来ることも初めてで、場馴れしたリヴァイに大人の男を感じさせられた。

アイシャが一杯をチビチビと味わいながら飲む間に、リヴァイは水を飲むように、手酌しながら次々と瓶を開けて行く。

アイシャ「凄い。お酒強いんですね………」

リヴァイ「そうだな。地下にいる頃から酒は欠かしたことなかった。あの頃は毎晩だったからな。兵士になってからは浴びるほどは飲まねぇ。たまにエルヴィンと酌み交わす程度だ。

お前は、飲まねぇのか?」

リヴァイからの質問が嬉しく感じられた。
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