一個旅団兵士長と月の輪

□盈月(えいげつ)4
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アイシャは、リヴァイの行動に戸惑ったが、同時に鼓動がドクンと強く打ち付けた。

ゲルハルト「リヴァイ兵士長………地下街上がりとは、伺っておりましたが、本当にそのようですね。貴方から下水とドブに似た臭いがプンプンしますよ。」

リヴァイ「テメェみたいな腐った糞溜まり野郎に言われたくねぇ。」

エルヴィン「ははは、これは申し訳ない。ゲルハルト伯爵。兵士として準じて来た彼女は、こういった扱いに慣れてないのですよ。

彼もまた、地下から上がって間もないですからね。彼はなかなかの闘犬で、私もいつも噛みつかれてます。どうか、私の顔に免じて今日のところは、許して頂けますでしょうか。 」

エルヴィンはすかさずそう言うと深々と頭を下げる。

リヴァイは不服そうにその場を立ち去った。

ゲルハルト「まぁ、いい。僕は君たちの活動に多いに期待してるからね。これからも、頼んだよ。ああぁ、楽しみがまたひとつ〜」

ゲルハルトは舐めるようにアイシャの顔を眺めて帰っていった。
その表情を思い出すと、背筋が凍る。



空の厚く張った雲から雨が滴り落ち出した。

エルヴィン一行も帰路につく。

帰りの馬車のなかで、あの気持ちの悪い男は、この世界の製糸工業を造り上げた御曹子の二代目ゲルハルト・シュナウザーだと知る。

雨はこの暗闇のなかにヒソヒソと降り注ぎ、その姿を消して行くのであった。


拠点に帰りつき、疲れ果てた身体を沈めるようにそれぞれが就寝の床に付いた。

皆、頭がいっぱいだ。今日見たもの聴いたものは、全て現実だ。これが事実なんだ。
入ってきた情報が多すぎで、頭の中で整理できない。

何が間違って、何が正解なのか。こんな人類に守るべき価値があるのか、それでも、調査兵団として命を捧げ闘うのか。嫌、巨人を滅ぼす糸口を見つけ壁の外の未来に人類の栄光が………

頭の中が複雑に交差し絡み合い、流転する。

これが現実。…………………
なぜ極秘任務になったかの真実を。これから目にするものも今までの話も全てが現実だ。それらを目にしたとき、改めて君達は人類の進むべき姿を選択させられることになる。

エルヴィン団長の言葉を思い出す。

人類の進むべき姿を…………





滅んでしまえばいい――――――――――――――――。
アイシャは幼い頃の夢を見ていた。


下半身に気持ち悪い感触。

その時間が過ぎるのを只々、耐える。
痛みにもがけば、奴が高揚するのが分かるから無反応にする。

やめて―――――――――。
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