一個旅団兵士長と月の輪
□皓月(こうげつ)3
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一夜明け。兵舎から揚々と出てきたアイシャに全員が驚いた。
ペトラ「アイシャ!!顔!!傷全く無いじゃない!どうしたの!!!??」
テヘッと、悪戯に笑いながらアイシャが答えた。
アイシャ「確かに、顔に傷はあったんだけどかすり傷くらいでねw大袈裟に包帯をしてたから、何だか、色々噂されてたみたいだね……あはは。」
オルオ「テメー!こっちは、マジ気ィ使ってそれには触れない様にしてたのに!騙しやがって!!!」
ベリエス「あーら、騙したなんて人聞き悪いわね!アイシャは騙してなんかいません!あんたたちが勝手に変な想像してただけでしょ!」
オルオ「変な想像とはなんだっ!!!?このオカマ野郎!アグッ!!」→舌を噛む
ベリエス「オカマで悪かったな!!変態舌噛み野郎!!!!」→男声になってる
アイシャ「あはは…………、まぁ、まぁ、何だか、噂ばかりが先行してて、皆私が大怪我してるって思って心配してくれてたんだよね?有難う。」
エルド「まぁ、大袈裟に噂がたってたからな。でも、良かったよ。大した傷じゃなかったんだからな!」
グンタ「そうさ。やっぱり、顔に包帯なんて訓練の邪魔になりそうだしな。それがとれてスッキリじゃないか?」
アイシャは二人を見て、ふわりと微笑んだ。
アイシャ「有難う!」
グンタ……………………!!
エルド………………………!!
グンタ「っ早く、行こう!!今日もリヴァイ兵長の訓練だ。遅れたら大変なことになる!」
足早に去ろうとして、ちょっとした段差につまづきながら、グンタとエルドが去っていく。
それに続くようにアイシャたちも歩き出した。
ベリエス「アイシャどうしたの?なんか憑き物が落ちたような顔してるわよ!何か良いことでもあったんでしょ!」
ベリエスは本当に勘がするどい。
彼には、何も隠せそうにない。
アイシャ「何もないよwただ、私は普通に胸はって生きていこうと思っただけ。」
ベリエス「あらやだ!いいじゃない〜!頑張んなさいよ〜!恋する乙女!」
アイシャ「だから、なんでそうなるの!違うって!」
日の光にまばらな雲がかかり、晴れたと思えば翳る。
つかの間の自由を感じる一時だった。
一変して、訓練は昨日にも増して、激しいものになる。
班を組み、一秒たりとも無駄の動きの出来ない連携。
互いが、互いの動きを読んで上に下にアンカーを放つ。
そこに厳しく尖った眼光をむける一人の男。