進撃の暇なき連鎖兄弟
□赤、青、緑
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イツオ「リリアをカー君達に紹介する手間が省けて良かった。」
?
ゴロさんが言う、面倒だけど世話になる相手は、そのカー君なる人のこと?
せせこましく、頭の中の疑問が湧き出るが、口には出なかった。
足早にその場を後にする。
家の地下に降りると、そこは車庫になっていた。
見るからに高級そうなスポーツカーが停まっている。
どんな仕事したら、こんな高級車乗れるんだ!?
カレー屋だけじゃ無理だよね………やっぱり、真っ当な仕事じゃないことしてないと………
疑問が頭をよぎってしまう前に、皆はさっさと車に向かう。
金ちゃん、いっくんは後部座席に乗り込んだ。
ゴロさんは、左の運転席。
まてまてまて……………
私が助手席!?
ゴロはハンドルを握りながら、助手席に乗り込まないリリアを睨む。
ゴロ「モタモタしてんじゃねぇ!いくぞ!」
金ちゃん「だぁい丈夫だよ!僕達を信じて!」
悩んでる暇はない。
そうだ。今は、この人達に頼るしかない。
揺るぎない決心が固まった。
重工な車のドアを開け乗り込む。
ドォォォォーーーールルルウゥゥゥ……
重低音のエンジンが轟く。
電動シャッターが開かれると、タイヤの甲高いスキール音を響かせ、勢い良くゴロさんの車は発車した。
FR(後輪駆動)の車は、後輪を路地で空転させながら、鮮やかにコーナーを転がしていく。
バケットに押し付けられるGを感じて、何故助手席に座らされたのかを理解した。
後部座席のシートベルトだけじゃ、体が転がって仕方無いんだろう。
次々とカーブを切っていく中、後部に座っていたいっくんが顔をひょっこり出す。
イツオ「ああ!そこ!ゴロさん!多分あっちの工事中の建物のところ!」
指差しながら、座席の間から体を乗り出すいっくん。
って、シートベルトしてないんかい!
心の中で、突っ込んでしまう…………。
激しいスキール音と共に横滑りしながら車は停車した。
ゴロ「追っ手は無いようだな。」
金ちゃんは辺りを見回しながら、不思議そうな表情をするが、いっくんは深く頷いた。
車を降りると生ぬるい風が頬を擦った。
ここは………………。
ビルとビルの灰色の建物が並ぶ中、工事中なのか、ネットが張られた建物が目の前に聳える。
建物の遥か頭上には、闇夜に照らされる赤色のシグナル灯が点滅していた。
いっくんは、徐にネットを潜り建物の奥へと躊躇することなく入っていく。
続くようにゴロさんや金ちゃんも足を進めた。