一個旅団兵士長と月の輪
□蜜月(みつげつ)5
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アイシャ「エルヴィン団長が言ってた、改めて人類の進むべき姿を選択させられることになる。って、こう言うことだったのかな。
死をもって、人類の自由を手に入れる駒になるか。壁に守られたまま下らない世界でも平和に生きていくか………私にもよくわからない。」
アレックス「俺は、お前だけでいい。お前さえ生きてくれれば、人類のどうのこうの何てどうでもいい。もう、失いたくない。」
アイシャの体をクルリと自分の方に向け、アレックスが唇を寄せてきた。
アイシャ「アレックス!!だめ。私…………」
渾身の力を入れて突き放した。
アイシャ「私も、人類なんて滅んでしまえばいいとか思った時もあった!親友も失って、折角捕まえた巨人も殺されて、絶望した!でも、今は、一人の人のためだけに闘いたい!だから!」
走り去るアイシャにアレックスは、言う。
アレックス「俺はお前のために生きる!お前だけのために戦う!」
アイシャは逃げるように走り、アレックスが追ってこないか振り返った。
来なかった。良かった……………
ハァハァ………上がった息を落ち着かせようとしていると、廊下の先から人の足音が、聞こえる。………………――――コツコツ。
まさか、アレックスが!?と、頭の隅で考えながらも音の先を見据えるとそこには―――――リヴァイが立っていた。
戸惑いながらも、息を整えていると
リヴァイ「お前の休暇を貰ってきた。今から街に行くぞ。着替えて来い。」
突然に言われたことだったので、頭が理解できない。
アイシャ「わ、私の休暇!?……………街に、どういう…………」
リヴァイ「どうもこうもねぇ。そういうことだ。わかったら早くしろ。」
アイシャ「は、はい!」
何故かは、さっぱりわからなかったが、何か任務の一貫で極秘の調査とか誰かを探りに行くとか、特別な理由があるのだろうと思った。
街に出る。
本当に二人きりだ。
バタバタ用意して出てきたので、同室のペトラから色々聞かれたが、田舎の義理の両親が体調を崩したので休暇をもらったなどと、適当を振り撒いてきた。
馬車に乗るリヴァイとアイシャ。
聞きたいことは山ほどあるが、肘をついて外を眺めるリヴァイに取り敢えず合わせようと思った。
リヴァイの私服姿は新鮮で目のやり場に困った。ラフな胸あきのシャツに、黒いパンツ。七分丈の袖からリヴァイの筋ばった腕が。何故かそれに男の色気を感じる。
あまりジロジロ見ても、失礼だ。だけど見たい………