一個旅団兵士長と月の輪

□下弦の月1
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『その日 人類は思い出した ヤツらに支配されていた恐怖を… 鳥籠の中に囚われていた屈辱を……』


845年………

「以上をもって、第99期訓練兵団!解散式を終える!」

「ハッ!!」

シンと静まりかえる空間に、天も突き上げる掛け声がこだまする。

上位10名は憲兵団に所属出来る選択を与えられるらしい……

今季の訓練兵課程を終了したものは、約300
名ほどだ。


過去に類を見ない人数の多さだった。

エルザ「ねぇ、アイシャは何処の所属にするの?やっぱり、どうしても調査兵団に行くの?」

彼女はエルザ・アンデイード訓練生になってから苦楽を共に歩んだ戦友だ。

ベリエス「なーに言ってんのよ!せっかく親友3人とも無事に解散式迎えれたのよ!そんな、おっかないところに所属したら命がいくらあっても足りないわ!」

身長190センチ、屈強な肉体と黒光りする肌にスキンヘッドの厳つい男。そんな男には似つかわしくない口調。彼…嫌、彼女はベリエス・ボーグ同じく戦友だ。

アイシャ「私は、ごめん、、私の意思は変わらない」

エルザ「そっか、そうだよね………。それより、ベリエスはもう決めたの!?あなた、10位以内に入ってるじゃないの!やっぱり憲兵にいっちゃうのかな?」

ベリエス「そうね〜、、私は別に何処でもいんだけど、アイシャ次第かなー?」

筋肉粒々の身体をくねらせながら、胸の前で両手の人差し指をチョンチョンと付け合わせる。

そんなしぐさに、周りの同期たちは汚いものを見るような目で、犬猿し、後ろ指指し、微かに聞こえる笑い声をあげながら離れていく。

彼女はとても優秀で芯の強い兵士だ………と、思う。彼女の考えや行動はいつも正確で、頼りになる。体が男なのに、中身が女だから周りには邪険にされるが、友達思いの出来た人間だと思う。

アイシャ「え?!あたし次第って、そんな大事なこと、あたし次第で決めちゃ駄目だよ!」

エルザ「そうだよ!さっき、おっかないとか命がいくらあっても〜とか言っといて!自分の道は自分で決めないと!」

エルザは、いたって普通の女の子。決して成績優秀って、訳ではなく、訓練兵団での成績はいつも真ん中。それはあたしと似かよっていて、エルザといると安心できる。可でもない不可でもない、平坦で突出してないから、気兼ねなく接することが出来る。
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