一個旅団兵士長と月の輪

□月影(げつえい)6
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アレックス「そんな……………!?リヴァイ兵長!!なんで、貴方ほどの人がそれを止められなかったんです!!そんな、姑息なやり方で、あの男にアイシャを渡すなんて!!上の人たちは、それをすんなり受け入れたんですか!!?」

皆が凍り付くなか、アレックスの怒り心頭が治まらない。

リヴァイ「今話したばかりだが、アレックス。私情は持ち込むな。これは、あくまで、アンネローゼ自身が望んで受け入れた結果だ。その希望を上が受理した。

もう一つ言っとくが、俺たちは人類存亡をかけて戦う兵士だ。次の壁外に出て任務をこなし、全うする。それ以上でもそれ以下でもねぇ。先ずは、お前自身が生きて帰ることを頭においとけ。」

アレックスはグッと奥歯を噛むと、べリエスの手を振り払い、リヴァイの前から立ち去った。

リヴァイは、それを見送る。

オルオ「またあいつ。何処まで独歩なんだ?」

ペトラ「まあ、アレックスはアイシャにゾッコンだからね。気持ちはわからなくもないけど。」

微妙な空気が流れるなか、リヴァイは今作戦の具体的な流れと、策敵陣形を指示していく。



作戦の説明が一通り済んだ後、リヴァイは班員を残し、エルヴィンのもとへ向かっていた。

途中、べリエスが走り寄ってきた。

べリエス「リヴァイ兵長。はぁ………はぁ…………」

べリエスは息を切らしながら、リヴァイを見上げた。

リヴァイ「何だ?」

べリエス「ゲルハルトにアイシャを渡してしまって、貴方は本当にそれでいいんですか!?私情は兵士である以上、挟まないのは当然ですが!兵士でない貴方自身はそれで本当に納得しているんですか!?」

リヴァイ「あ?」

リヴァイの眉間に深く皺が入る。べリエスの問いにリヴァイの威圧感が急激に増した。

べリエスは、少し躊躇ったが、続けた。

べリエス「あの娘は、兵団の為ならいくらだって自分を犠牲にするわ!でもそれは、兵団の為だけじゃない。リヴァイ兵長!貴方の為なのよ!」

詰め寄るべリエスにリヴァイはそっと溜め息を吐いた。

リヴァイ「お前、アイシャの親友とか言ったな。お前は、そもそもどっちだ?お前もアイシャに気があるほうか?」

べリエスは、リヴァイの威圧が弱まったのを見て、胸を撫で下ろした。

べリエス「残念ながら、私は生まれながらに男性にしか興味がないの。だから、その点はご安心を。」

リヴァイはふと、空のほうに視線をむけた。
空は赤みをおび、寝床へ向かう番いの鳥が自由に空を飛んでいた。
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