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□その笑顔を
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兵団でトップクラスの実力を持ちながらそれを鼻にかける事なく誰に対しても物腰柔らかく仲間を思いやる優しい人。そして綺麗で笑顔が可愛い人。

そんな大人の女性に憧れていた。



(こんにちはエレン)


(エレンは今日も元気だね)


(エレン、無茶しちゃだめだよ?)



彼女に声をかけられる度に、名前を呼ばれる度に心がじんわりと暖かくなる。

いつか聞いた事があったのだ。俺の事怖くないんですか?と。

人類の希望だなんていわれてたりもするけど影では俺を恐れ化け物と呼ばれている事は知っていたから。

でもなまえさんは不思議そうに首を傾げた後笑って俺の頭を撫でながら言ってくれた。


「どんな姿になってもエレンはエレン。わたしの大切な仲間だよ。」



憧れが恋に変わった瞬間。

それからというもの幾度となく彼女の笑顔に救われた。


初めて抱いた恋心に戸惑いもしたけどそれ以上になまえさんを好きになれた事が嬉しかった。

伝えたい。あなたが好きだと。想いは日々募っていく。


だけど俺の恋はあっけなく終わりを告げる。

見てしまったのだ。

昼下がり。何気なく兵舎の中庭を見れば木にもたれまどろむなまえさんの姿。

どこかあどけない寝顔。でもやっぱり綺麗で天使のようなそれに見惚れる。

そこに突如として兵長が現れた。別に悪いことをしているわけじゃないけど身を隠しつつ様子を伺う。すると兵長は徐になまえさんに歩み寄り腰を折ると顔にかかった髪をそっと流し口づけた。

まるでおとぎ話のワンシーンのような光景。
目を覚ましたなまえさんが驚いたような表情をした後に照れくさそうに、そして嬉しそうに笑った。

二人が恋人であるのかは確信できないないが俺の失恋は確定だ。

だってその笑顔はどう見ても特別な相手に向けるものだったから。

しかし胸は痛まなかった。月並みな言葉だけどなまえさんがあんなに幸せそうに笑うのだから。


「!」


兵長と目が合う。兵長は声に出さずに言った。



(や ら ね え ぞ)



どうやら俺の気持ちは見抜かれていたようだ。



(わかってます)



もしなまえさんに手を出すような事があれば間違いなく削がれるだろう。いくら俺でもそんな命知らずな事はしない。何よりなまえさんの幸せを壊すような事は絶対にしたくない。

でも一つだけ許して欲しい。なまえさん
の笑顔を護りたいと思う事を。
今は到底なまえさんの実力に及ばないひよっこだけどいつかきっと強くなってみせるから。


























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(あ、おはようエレン!)


(おはようございます)


(ふふ、すっごい寝癖)


(え?あ…はは…)


(今日も頑張ろうね!)


((やっぱ諦めたくねぇかも…))


(エレン?)


(あ、いや、はい!頑張ります)


(おいエレン)


(ひぃ!?)


(あ、おはようございます兵長!うん?どうしたのエレン)


(な、なな、なんでもありません!)


(エレンよ。さっさと朝飯食ってこい。今日はみっちり対人格闘の訓練をしてやる)


(わぁ、よかったねエレン!)


(は…ははは…(死んだな…俺…))




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