book
□1
3ページ/3ページ
「入るぞ」
返事を待たず医務室のドアを開けば消毒液を手にしたなまえが僅かに肩を揺らす。
表情はと言えば一見既にいつも通りのように見えるがあからさまに目を反らしたあたりその心中は冷静さを欠いているようだ。
それを悟ったリヴァイの口角が静に上がる。
「勤務医は不在のようだからな。俺が手当てしてやる」
「結構です。この程度の処置は自分でできます。直ぐに済みますのでお戻り下さい。お気遣い感謝します」
淡々と言葉を連ねてるつもりなのだろうがいつものような覇気が全く感じられず虚勢を張っている事がよくわかる。
実に愉快だった。
「遠慮はいらねぇよ」
「!?何す…っ、!」
顎を掴み頬に舌を這わせる。驚き飛び退こうとする体を逃すまいとがっちりとホールドすればその細い体からは想像もつかないような程の力で抵抗を示した。しかしリヴァイにとってはそんなものなんの脅威にもならない。
「舐めれば治ると言ったのはお前だろ」
「っ、!離し、て、下さい…っ!」
みるみる内に赤くそまる頬、完全に冷静さを失い必死の様子にただの好奇心が加虐心へとすり変わる。
「あァ、こっちも切れてるな」
「っ…!」
唇の端に滲む血を指先でなぞり驚いた拍子僅かに開いた隙間から舌を侵入させる。
間髪いれず逃げようとするそれを絡めとれば咥内に鉄の味が広がり唾液と混ざり卑猥な音をたてた。
「ふ、ぁっ…っ」
零れ落ちる吐息、悩ましげな声、膨れ上がる加虐心と共に久しく感じていなかったある感情が腹の底からふつふつと沸き上がる。その感情が興奮だと理解するのに時間は要さず。
大概自分も貪欲な人間だと自嘲はするものそれを抑制する選択はない。
「んっ、ァっ、!」
舌を絡めたままベッド脇まで追い込み腰を引き寄せ体重をかければ上体が反れ重力に従って倒れこみ年季の入ったスプリングがギシリと悲鳴を上げた。力の差は歴然である事さながら、マウントポジションをとられてはもはや逃げる術はないと悟ったのか抵抗がぴたりと止む。
だがシャツに手をかけた時だった。