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□touch it kindly
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一人の情勢兵士が数人の男性兵士に取り囲まれていた。よく見ればその女性兵士は先輩であり秘かに思いを寄せているなまえだった。
そこには明らかに不穏な空気が漂い聞こえてきたのは彼女に対する罵倒戯言。
正義感の強いエレンがそんな状況を見過ごせる筈はない。彼女の細い腕がひねり上げられた。
反射的に飛び出す。が、それと同時に何者かに首根っこを掴まれ間抜けな声が出た。
一体誰だ、何をするんだと凄みながら振り返れば直属の上官であるリヴァイの姿。
「何するんですか兵長!」
「お前こそ何をしようとしている」
「何ってなまえさんを!・・・え、あれ・・・?」
リヴァイからなまえに視線を戻せば何が起こったというのだろうか。
彼女を取り囲んでいた男たちが一人残らずひっくり返っているではないか。
時間にして10秒にも満たないわずかな間に起こった出来事に頭がついていかない。
「あ」
呆気にとられているとなまえがこちらに気づき笑顔で駆け寄ってきた。
「エレン、こんにちは!」
「あ・・・こん、にち、は・・・あの、なまえさん今一体何が・・・」
しどろもどろに状況説明を求めればにっこりと笑い言い放った。
「急に因縁つけられて乱暴されそうになったからつい返り討ちにしちゃった」
まさか。信じられなかった。
その細い体で自分の何倍もあるような男達を秒殺したというのだから。
非常に可愛らしい笑顔を浮かべるなまえと起こった出来事のギャップが凄まじく正に開いた口が塞がらない。
「ていうかリヴァイ、見てたんなら助けてよ」
そうだ、この男の存在を忘れていた。
「必要ねぇだろ。現にお前はかすり傷一つ負ってねぇ」