双頭の一翼(ホメロス救済夢)

□【企画】クリスマスの朝
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「ホメロス様、エトワールです」

扉を叩く音を聞き、ホメロスはゆっくりとベッドから起き上がった。

朝食のプレートを持ったメイドが、まるで悪戯っ子を見る様に微笑んでいた。

「今日が何の日か、お忘れですか?」

「聖人の誕生日だ。俺が一年で一番嫌いな日だ」

「覚えていらっしゃった様で何よりです。ホメロス様宛の贈り物が、多く届いております。この国の民には、"すぐに"お礼の手紙を書かなくてはいけません。貴方様の人気を損なわぬ為にです」

「当然手伝うのだろうな?」

ホメロスは髪を纏めながら不機嫌そうに訊ねた。エトワールはクスクス笑いながら頷いた。

「はい。贈り物の中に、不審な物が含まれていないか調べるのも、私の仕事です」

そう言うと、彼女は部屋の外へ出て、次々と両手一杯のプレゼントやら、カードやらを抱えて、何往復もした。全部運び終えると、扉の前には巨大な山が出来ており、ホメロスのプレートはすっかり空になっていた。

「お下げ致します。早速、お手紙をご覧になってください」

エトワールがプレートを持って部屋を出て行くと、ホメロスは大きく溜息を吐き、手紙を一山抱えてテーブルへ戻った。
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