軋轢

□蘇生
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マイエラ修道院の入り口に降り立つと、修道士が顔色を無くして駆け寄って来た。

「ククール! 一体何がーー」

「悪いが説明してる余裕は無いんだ。マルチェロの奴はいるか?!」

「今は、騎士団長室にーー」

「どうも」

彼は急いで建物の中に入った。参拝に来ていた多くの民間人が、アンジェリカの姿を捉え、息を飲んだり、悲鳴を挙げたりしたが、ククールは御構い無しに、勝手知ったる中庭へ駆け込んだ。

宿舎の入り口には、ガラの悪い男が二人立っていた。ククールの知らない騎士団員だったから、最近になって入団した者だろう。

彼は手袋を外し、聖堂騎士団の指輪を見せた。

「通してくれ。マルチェロ院長の恩人が重症だ!!」

団員は素直に道を開けてくれた。ククールはまっしぐらに階段を駆け上がり、マルチェロの私室の前に飛び出した。門番をしていたジーノが、ククールとアンジェリカを順番に見て、血の気を失った。

「何があった?!」

「見りゃ分かるだろう!! マルチェロに用がある!!」

ククールの剣幕に気圧され、ジーノはノックもせずに扉を開いた。

「マルチェロ様!!」
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