ロリポップメラゾーマ

□11.脆さの証明
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「クソッタレ〜!!」

オレは海に向かって叫んでみたかった。
そうすれば理解できるんじゃないかっていう謎の期待を込めて。
自分の気分に似つかない青空が憎たらしくて仕方がない。
言いたかった本音を唐突にぶちまけたオレに青空はない。

確かに兄貴がうざかったのは事実だ。
でもあそこまで言う必要はない。
兄貴は、マルチェロは、オレを恨まなければ生きれなかったんだから。
しかし、オレは何を憎めばいい。
憎むものを持たないオレは何を敵にすればいい。
ラプソーンを倒したオレは何をすればいい。
何かを見失っていた。
クロノスがあんなこと思わないことを理解しながら、オレは見失って八つ当たった。
これじゃあ何も変わらない。
他人を批判する立場になんてなれない。
いや、人は他人を批判することなんかできやしないんだ。

「オレのクソッタレ!!」

「・・・・・・」

「・・・・・・!?
ユウ!?黙って存在感出すなよ!!
話しかけろ」

「いや、だって不審者みたいで」

言われてみれば確かに。
ジュレットの町でいきなり叫ぶ美形は不審者にみえる。
しかも海に向かって。
まさか、こいつは最初から見ていたわけじゃないよな。
見ていたならちょっと考えさせられるものがある。

「兄貴に捨てられてきたか?
それとも死体でもいいから連れ戻せって?」

「・・・・・・」

「おい、きいてんのかよ」

「え、あぁ〜
なんか嫌味たらしいのはソックリだなって。
好きな人に嫌われるよ。
あ、まずは女好きを直すべきよね。
あはは、ごめんなさいね」

お前も十二分に嫌味だな。
かわいい顔して毒吐きまくり。
毒のある女は好かれるのが定番なんだけど。

「帰ろ、ククール。
私、メギス鶏の唐揚げが食べたい!!」

「なにも知らないやつが・・・・・・
どんな顔して帰ればいいんだよ」

「こ〜んな顔〜♪」

変顔をするユウを見て、頭をおさえる。
これは子育てが大変なやつだ。
親は苦労したんだろう。
変顔を公共の場で堂々とできるやつが子供なんだから。
でもガキ相手にここまでさせて戻らないのは大人じゃないな。
いや、来てもらった時点で子供確定だ、オレは。

「よし、帰るか。
変顔はしないからな」

「え、しないの?
酷いな〜
あ、雨!!」

突然の雨雲に大雨。
オレたちは急いでジュレットの町の酒場に向かい走り出した。
これはゲリラ豪雨と言うやつだ。
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