ロリポップメラゾーマ

□08.歌に想いを乗せて
2ページ/2ページ

夢だ。
あれからオレは寝たんだ。
ユウコも寝たし、兄貴もクロノスも寝ていたんだ。
だから、オレも全力で寝たんだ。

今見ている夢は夢と自覚する夢だ。
何故、こんな暗闇なんかの夢を見るんだ。

「君か、昨日からのここの訪問者は。
今回が君の初めての訪問になるね。
これから君が来るかはともかく」

なんだこの声は。
あくまで夢だから深く考えたら負けな気がする。
夢なんだから見知らぬ声が聞こえて仕方がない。
でも『今回』、『これから』って何の話だ。
昨日からの訪問者か。

昨日?
昨日って確か兄貴に殺されそうになる夢を見たんだ。
それで逃げて、扉を見つけて開けたんだ。
そうしたら目が覚めた。

「君はそうあっさり死なないだろうね。
『黒き羽根の加護』があるから」

黒の時点で不吉だろう。
死亡する流れか、これは。つか、死なないってなんだよ。
その時、背中から寒気を感じた。
慌てて後ろを振り返る。
そこにいたのはエイトだ。
でもあんなエイト、見たことがない。
それ以前にエイトはあんな怖くない。

槍には血がついている。


刺される・・・・・・


本能でそう感じた。
でも恐怖で動けない。
夢のはずなのにリアルな恐怖が襲う。
兄貴と戦うとき確かに躊躇しないようなエイトだが、あんな殺気なんて出さない。
夢なんだ!!これは!!

「ククール・・・・・・」

「・・・・・・エ、エイト」

「僧侶のくせに使えなくてさ、メラゾーマぐらい打てれば役に立ったのに。
タンバリンすら速さなくて使えなくて。
僕がトーポにチーズ食べさせて頑張ったんだよね。
クロノスがいたからぶっちゃけいらなかったんだよね〜」

「は?」

なにいってんだよ。
オレの知るエイトはそこまで言わない。
そう、あくまで夢なんだ。
オレは走り出した。逃げないと危ない。
夢から脱出する扉を求めて、走り出した。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ