ロリポップメラゾーマ

□00.私、男を拾いました。
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寒い。寒い。

何故だろう。ひんやりを通り越して寒い。
オレ、ベッドで寝ていたんだ。
なんか、目を開けなきゃ死ぬ気がする。
ヤバイ、目を開けなきゃ!!

「『返事がない。ただの屍のようだ』」

「!!?」

オレは目を覚ました。
タンクトップに長ズボン。そして皮のくつ。
なんて格好だ。
いや、それより周りが異様だった。
雪が降っている。
大聖堂に雪なんか降っていなかったぞ!?

あまりの寒さに震え、身を丸めた。
見知らぬ場所、見知らぬ景色に混乱する余裕はない。
傍にいる少女に問い詰めるしかなかった。

いや、問い詰められてしまった。

「あなた、グレンに向かう途中?
それともランガーオ?
違うなら行き倒れ?」

こっちが聞きたい。
聞き慣れない地名が並べられ、頭痛がする。
嫌な予感しかしない。
よく童話や物語にある展開だ。
異世界に訪れてしまうというシナリオだ。

少女は自分のコートをオレに着せてくれた。
こんな寒さ、さすがに耐えられない。
ヌーク草は無さそうだから耐えるしかないか。

「ん〜グレン城下町に行く途中なんですけど行きません?
雪原は危ないですよ、それじゃあ・・・・・・」

「わりぃ・・・・・・お嬢ちゃん、名前は?」

「ユウコです!!当然偽名ですが」

偽名かよ。

このオレ、ククールは
見た目12歳のユウコ(偽名)に拾われました。
情けないな。
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