The uncertainty of the future

□08.タナトスの塔
2ページ/3ページ

タナトスの塔、一番はじめの部屋。
ロウソクが二本置かれたシンプルな部屋だ。
ただ次への道は、扉が閉まり進めない。
はじめから難題のようだ。
途方にくれていると、見知らぬ女が現れるのだから驚いた。
学校の制服を着ている。

「・・・・・・山本百合子?」

柊沢は率直に感じたままを答えた。
演劇部の歴代の写真にいた気がした。
雪の女王を演じた人物の一人として。

「あれ〜知ってるの?
あたしに会いたい?ならロウソクのどちらかを消さなきゃダメよ」

「まどろっこしいな。
扉まるごと破壊するぜ」

「きゃ〜野蛮!!」

「な、南条、どうにかしろ」

どうやら明るいタイプは苦手らしい。
振り回されぎみではある。
ここは指示を聞くしか無さそうだ。
仕方がなく気が乗らないまま、柊沢は右のロウソクを消した。

「うっ」

南条の呻き声に反応して振り向くと、百合子が笑いながらペルソナを封印したらしきことを言う。
罠だったようだ。
いや、罠に嵌まらなければ進めなかった。
まどろっこしい百合子のやり方に合わない柊沢は、南条のペルソナ回収を優先するはめになった。
元々南条に戦わせる気は柊沢にはなかったが。

「メギドラオン、連発するから。
あんたは後ろにいな。
やりてぇなら銃にしてくれ」

「ふん。あの女、やり方なやり方をするな。
でも利にかなってる。」

「褒めるな!!」

柊沢は出てくる悪魔を蹴散らし始めた。
援護すらする隙のない戦いを見ながら南条は、柊沢はペルソナを使い慣れていることに気づいた。
ペルソナを使い、不良を相手にでもしていたのだろうか。
不確定要素の多すぎる謎めいた力で。
だとしたら手際のよさと、男女の力の差に納得がいく。
柊沢はペルソナ クロノスを冷静に扱いながら、タルタロスの入り口を見つけた。

「南条のペルソナの気配か。
あるな、ここに。
たく・・・・・・どーせこの迷宮内に鏡もあるんだろうよ。
いこーぜ」

足を踏み入れる。
タルタロスと言えば冥界の最深部にある暗黒界だ。
その名前の通り冷たい空気が漂う。
タナトス自体が死神だから今更感はある。
ペルソナの使用による疲労感に襲われ始めた柊沢は、北東の部屋に入った。
そこに人がいたのだから、二人は驚いた。

「マジ、人か?
な、何してんだよ。」

「綺麗な鏡の欠片を拾ったんだけど」

「は?」

「5000円でなら取引しない?」

「・・・・・・どこぞの泉より安いな」

南条はとりあえずなにも言わない。
冷静に柊沢が手を差し出してくるのだ。
どうやら金を払わせる気らしい。
金を持ち歩かない主義の柊沢は、悪魔を倒して拾った金ぐらいしかない。
仕方がなく南条は5000円を支払うはめになった。
疲労が回復するどころか、二人は謎の力を消耗した気がした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ