The uncertainty of the future

□04.誘拐事件
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やはり来るんじゃなかった、と南条は後悔した。
柊沢の運転の悪さになんていうじゃじゃ馬娘だ、と感じていたのだ。
焦りがあることはわかるが、南条は振り落とされる気がしてならなかった。
やって来たのはだいぶ学校から離れた港付近。
そこの使われていないガレージを見つけた。
ここにいると目をつけたようだ。
二人は侵入が可能かどうか見て回る。
シャッターは頑丈に閉まり、換気扇は運悪く回っている。
入ろうとしたらお陀仏だ。
ただ、だいぶ古いようで錆が目立ちすぎる。銅の色より酷い。
その中でもっと脆い部分を見つけた柊沢は、企んだ笑みを浮かべて言う。

「南条、バイクに乗れ。」

よくわからない南条は言われるがままにバイクに乗った。
柊沢がエンジンをかけ、動き出したところでやっと気づいた。
脆い壁をバイクで破壊して堂々と突入するつもりだ、と。
気づいた頃にはもう遅い。
全力スピードのハーレーから降りるなど自殺行為だ。
南条は命があることを祈りながら、そのまま壁に突撃した。
壁を破壊した衝撃に耐えきれずに、二人は床に転がり込んだ。
ヘルメットがなければ危うく死んでいた。
しかも柊沢の愛車ハーレーは炎上。
とりあえず命があるだけ良かったということにしよう。

「もっといい方法がなかったのか!!
死ぬところだったぞ」

「あ?ハーレー犠牲にしてやったんだぜ?
誉めろ。」

そう言いながら立ち上がった二人は周りを見て、企みの笑みを浮かべた。
中にいた男の人数が予想より少なかったのだ。
10〜15人ぐらいだろう。
しかも武器はなさそうだ。柊沢一人でも撃退できる。
物置きになっているガレージのためパイプを見つけた二人は、それを片手に駆け出した。
さすがは南条といったところか。
素人チンピラ程度で負けはしない。
柊沢は雑魚を無視し綾瀬のところへ颯爽と向かう。
主犯らしき人物といる綾瀬を見て、面倒くさいという感情にかられた。
主犯の人物が綾瀬にナイフを向けていたのだ。
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