The uncertainty of the future

□03.招待パーティー
2ページ/2ページ

夜中。
月が見え、星が見え、暗い空が支配する。
物騒な世の中になり、一人で出歩くのは無謀である。
そんな中、制服姿の柊沢は自由に歩いていた。
絡んできた男は薙ぎ倒し、ナンパしてきた女性には冷静にお断りをした。
モテるのも悩みどころである。
そこにリムジンが通りすぎ、柊沢がいる場所から1m先で止まった。
興味もなく眺めていると、中から1がよく似合う男が出てきた。
不愉快を露にした柊沢は逃げるように背を向けた。

「待て、馬鹿者!!
こんな夜中に一人で出歩く馬鹿が同級生かと思うと不愉快だ。
柊沢!!」

「ちっ・・・・・・
あんたが10人束になろうが、勝てやしないさ。」

そう貶してみたが南条は諦めるはずがない。
女性を知っていて物騒な街中に放置したなど、南条家に傷をつけるようなものだ。
手を掴み、南条は無理にでもリムジンに乗せる気のようだ。
うんざりした柊沢はあっさり南条の手を捻った。
さすが、学校で噂になるほどの乱暴者である。
南条一人ぐらい朝飯前のようだ。

「親切は素直に受けとるものだ。」

「あんたに言われたきゃねぇな」

「稲葉や上杉と変わらんな。
ヒイラギグループの一人娘という自覚をしたらどうだ・・・・・・
誘拐されたら自分一人の問題ではなく、一家まるごとの問題になる。」

「だから格闘を学んだんだバーカ。
ついでに言えば誘拐犯に銃がなければとりあえず俺が必ず勝つからな?
・・・・・・あ?あんた今、なんて言った?
ヒイラギ・・・グループ?」

「あぁ。思い出した。あの場で気づかなかったのが不覚だな。
柊沢の名前は確か巡だったな。
それに薔薇の香水がまだ微かに香る。」

観念したと言うより動揺気味の柊沢。
乱暴者で学校に居るかすら怪しい女が、大企業の一人娘と知られたくないのは分からなくない。
南条も同じ立場になって考えてみるが、まず乱暴者になる時点で想像を断念した。
南条にはそんな想像は無理だった。

「ちっ・・・・・・乗るぜ。
ただし、執事には同級生として乗せろ。
あと・・・学校では口が裂けてもぜって〜言うな!!
特に稲葉と上杉にはな!!」

むしろこちらこそ願い下げだと言いたい南条がいた。
学校にいる同級生、しかも乱暴者が大企業の一人娘など悪い噂にしかならない。
品のある娘ならよかったのだがな。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ