ロリポップメラゾーマ

□14.May I have this dance with you?
1ページ/3ページ

とんだ一日だったと言えるだろう。
逃げ回って疲れきった私は風呂で癒してみた。
癒しきれる訳もなく足が痛い。
ヨガで着るような適当な服を着てみる。
ラフな格好の方が動きやすい。
夕食はすでにとっているからこのまま寝てしまおうか。
そういうわけにもいかないらしい。

「クロちゃーん!!」

「どうしたんだ?」

まさか添い寝要求じゃないだろう。
ククールじゃあるまいし。
ピョコピョコ跳び跳ねるユウコはなんだか無駄に楽しそうだ。
その笑顔をマルチェロに分けてくれないだろうか。

「ククールと忘れ物を取りに行くね、酒場に」

ククールとね。
なんだかククールが怪しい気がするが、多分大丈夫だろう。
ユウコならククールを平手打ちで潰しそうだから。
手を振って送り出してあげる。
さて、私は寝てしまう前にマルチェロに一応報告をするとしよう。
ユウコがいないとマルチェロが心配して鬼の形相になりそうだから。
と、思うと家の中にマルチェロがいない。
テラスにでもいるのかもしれない。
無断でマルチェロが外出するのはそうそうない。
ククールが相手なら絶対言わないだろうが。

テラスに出るとヒンヤリした風が肌に当たる。
半袖を着たことが間違いだった。
上着を取りに戻ろうとした。
いきなり生暖かいものがかけられて、私は後ろに向かって拳を向けた。
どうやら鳩尾を殴ってしまったらしい。
マイエラ修道院にいた際にマルチェロから習った護身術だ。

「・・・・・・あ、マルチェロ?」

「護身術の使用方法が誤りではないか」

確かにそうだが、マルチェロだと気づかなかった。
ククールみたいな女好きが相手だった可能性があるのだから許されるべきだ。
マルチェロにかけられた上着を掴みながらある程度反省する。
多分、こいつじゃなかったらいろいろリバースしていたはずだ。

「何をしていたんだ、マルチェロ」

「星を眺めていただけだ」

「星ね。ここで?
ジュレット地区で家を買えば綺麗に見えただろうが」

ここはトゥーンタウン地区。
星を見るには明るすぎる気がする。
少し暗くて星が見えやすい場所にいくべきではないか?
マルチェロならそれぐらい考え付きそうだが。

「場所を変えよう」

「どこへいく気だ」

「ルーラストーンがあるから問題ないさ。
ほら、マルチェロ。準備して。」

マルチェロの手を引いた。
自分らしくないのは承知している。
でもそうせずにはいられないんだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ