ロリポップメラゾーマ

□11.脆さの証明
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クロノスside


目を覚ましたククールの顔色が悪い。
元々ククールは肌白だからかもしれないが、なんだか気味が悪い。
本人に素直に言うわけにはいかないから、口には出さない。
丸一日寝ていたククール。
さすがに寝過ぎて体調も崩すだろう。仕方があるまい。
マルチェロはそうは感じないらしいが。

「貴様、いつまで寝ているつもりだ。
役には立ってもらわんとな」

「・・・・・・」

明らかにおかしい。
ククールなら何やら嫌味でも返すはずだ。
この兄弟は嫌味だけは人一倍うまいのだから。
寝起きのユウコが抱き枕を抱えてやって来た。
問題が起きなきゃいいんだがな。

「うるさい・・・・・・オレは物じゃない。
兄貴に八つ当たりをされる筋合いはない!!」

「・・・・・・この私に口答えなどいい度胸だな」

「度胸?
マルチェロ、あんた何様のつもりだ。
オレが助けなかったら今ごろ死んでたくせに。
誰のおかげで今ここにいるんだ」

「助けたら後悔すると言ったはずだが」

「二人ともやめないか。ユウコがいるんだぞ!!」

兄弟喧嘩をされたらこの家が潰れかねない。
それにマルチェロは斧でククールを刻みそうだからな。
教育上よろしくない。

「クロノス、あんた、オレなんか邪魔だろ。
使えもしないお荷物で、元の世界でもただいるだけだったオレなんか」

「え、ククール?
一体夢で何を見たんだ。しっかりしろ」

見た夢が原因ならククールがおかしいのも納得がいく。
しかし、ククールの台詞は彼の本音にも聞こえる。
ククールは気にしないようで気にしている。ナイーブなやつなんだ。
夢が彼の心に干渉したとしたなら、言わせた方が楽かもしれない。

「・・・・・・うるさい。
こんなはずじゃなかった」

「ククール!?」

家を飛び出ていくククールに驚いた。
大の大人が家出をしたのだ。
マルチェロは追いかける気なんかゼロらしく、冷静に紅茶を飲み出した。
意外と追いかけるのは効果がある気がするのだが、しないならしないでいいんだろうか。
ねぼすけ状態だったユウコは驚きのあまり棒立ちだった。

「ぽかーん・・・・・・
お昼ご飯、ククール食べれるかな。
私、追いかけてみよーと」

「貴様みたいな子供が追いかけれるはずがなかろう」

一応ユウコは15歳だったはず。
子供という子供でもない。

「・・・・・・
旅芸人Lv.47のユウコが」

「うっ・・・・・・辛いこと言いますね。
でもルーラストーンあるから大丈夫ですよ。
それに見当ついてますから。
あと、私、未成年だからカジノ行けないし。」

マルチェロはしばらくユウコの目を見てから、2000Gも渡しました。
ケチな男が珍しい真似をしている。
ユウコはなにも言わずに出ていく。
あの子の方がまだ大人かもしれないと思う。

「クロノス、支度しろ」

「・・・・・・どこへ?」

「調べるのだろ、カジノ」

あ、忘れていたよ、本当に。
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