ロリポップメラゾーマ

□04.行方不明な私。
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「だからさ〜ユウコのやつ、
蝶々を追いかけて行方知れずなんじゃない!?
あいつ、不思議野郎だから」

「ちょっと口悪いよ。
ユウコが誘拐された可能性は?」

「あ・り・え・な・い。
ユウコなら回し蹴りで加害者よ」

二人の女子高校生は
ファミレスでジュースとほうれん草のソテーをつまみに会話していた。

行方知れずになったユウコの話だ。
いなくなってから1週間になり、誘拐殺人が噂されるようになる。
そんなわけがない。友人の二人は確信していた。
確証ある確信ではない。
それでもそう感じていた。

「ねぇ・・・ユウコさぁ家出ではないよね。
ゲームマニアが3DSやPSPを置いていくかな。」

PSvita派ではないユウコがPSPを持っていくのは普通だ。
発売されるゲームは一通り情報を集めるマニアが、ゲームを捨てた家出をするだろうか。

「ネット環境から逃げないね。
3DSでDQ10やってるから。
それにアーサーもあるし、ネット環境ないと死ぬよ。
フリーは嫌いだったはず。それに家族でもめた形跡なし!!」

「・・・・・・なら不良に喧嘩を売って」

「や、やめてよ・・・・・・あり得そうだから」

ユウコは乱暴者である。
運動神経は悪すぎるわりには、なぜか喧嘩は得意。
男子に顔負けの喧嘩で強さをみせびらかしていた。

ただし女子には絶対に手を出さない。
「美しき女神の肌に傷は無理よ!!」と。

友人二人は顔を下げた。
探しにいけない無力感が自分たちを押し付けていた。

「・・・おい、お前たち。
そのユウコってこの子のこと、教えてくれないか?」

二人に話しかけたのは髪の長い女性だった。
真面目そうな顔をした女性にすっかりいい気になった二人はペラペラと話していく。

「実は・・・・・・ユウコがいなくなる前、不審な人が家に来てたらしいんです。」

「あ、そうだ、それ。
白髪の野郎な。黒いジャケットでゼタ様って感じのやつだ!!
ゼタうぜぇ言いそうなやつだ。」

「どのキャラクターに例えたのかな?
で、その人はユウコに話しかけたのかな?」

「はい。確か・・・名前を聞いていました」

そう、家に来ておきながら、名前を尋ねたのだ。
不思議に感じたユウコは、名前を聞き返した。
普通は逃げる場面だが。

「そいつ、名前答えたんだよな。」

「・・・そう。ありがとう、楽しい話を。
でも探してはダメだ?
もし誘拐殺人なら巻き込まれる。
きっとそれを彼女は嫌がる。」

「あれ?お名前はよろしいのですか?
・・・ならお姉さん、お名前は?」

「いいんだ。天使が迎えに来たなら。
私の名前か。
アテナ。当然、偽名だがな。」
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