The uncertainty of the future

□04.誘拐事件
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南条とマークが一緒にいることは珍しくはない。
学校でも放課後でも一緒にいることが多い。
単純に仲が良いようだ。喜ばしいことである。
眩しい日射しの中、二人はサトミタダシ薬局店にいた。
サトミタダシの歌につられる南条を、マークが笑いながら店をあとにする。
商店街を抜け、大通りに出ると綾瀬を見つけた。
男に絡まれているようだ。
最近、トロがふられたと噂されるのが気になるところだ。
二人はまずい男だと直感で判断し、綾瀬に話し掛けようとする。
ところが綾瀬の口を布で縛ると、近くの車に押し込んで発進してしまった。
二人は走って追いかけようとしたが、当然無理な話だ。

「やべ・・・アヤセが誘拐された」

「白昼堂々とはいい度胸だな。
車のナンバープレートは見えなかったな」

二人は警察に通報するという考えに至る。
しかし、そうしているうちに綾瀬が危ない目に遭うと考えているマークがいた。
南条は冷静に「綾瀬の日頃の人付き合いの責任だ」と言い放ち、二人は喧嘩を始めようとしていた。
その前に警察に通報しろと言いたいところだ。
ちょうどそこにバイクが通る。しかも学校の制服だ。
年齢から考えると原付バイクに乗るはずだが、明らかに違う。
ハーレーダビッドゾンだ。しかもVRSCDだ。
南条は時間が止まった気がした。
それぐらいすごいバイクなのだ。バイク乗りなら一度は乗りたいものだ。

「な、南条!!あの車すげー気がすんだけど・・・」

「たく二人ともバイクには無知か?
南条はハーレーだって事ぐらい気づいただろ。」

バイクから降りたのは柊沢だった。
険しい目付きになっている柊沢は、南条を見て頷いた。
どうやら綾瀬が誘拐される場面を見ていたらしい。

「南条、乗んな。定員一名様までだからな。
稲葉は警察のタコ親父に言え。」

「なんで俺が同伴するんだ!!
第一そのバイクは規則違反通り越してるだろう。
稲葉を連れていけ」

「南条でないと綾瀬を助けられないんだがな」

柊沢はそう言えば南条が食らい付くと計算したらしい。
その通りとなった。
南条がヘルメットをして後ろに座る間、柊沢がエンジンの様子を見ている。
最近メンテナンスをしていなかったようだ。
今、壊れたら格好つけた意味がなくなる。その上綾瀬救出もできない。
しかし、柊沢はどうやって居場所を突き止めるのか、不思議でならなかった。
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