The uncertainty of the future

□01.文化祭の準備
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目を覚まして、辺りを見渡す。
部屋の物や人から保健室だ、と認識した。
彼は南条圭。南条グループのお坊っちゃまという立場にいる。
そんな彼が保健室で寝るはめになったのは、長いこと行われている文化祭の準備中。
高いところにある物を一人で脚立に乗り取ろうとしたところ、下で遊んでいた生徒が脚立を倒した。
そして気絶。
なんとも情けないが全ては遊んでいた生徒が悪い。

南条は自分の未熟さに腹を立てた。
遊んでいた生徒に気づかず注意できなかったこと、脚立に一人で乗っていたこと等。

「あんた、脚立から落ちたんだって?」

話しかけてきた姉貴系お姉さん。ゆきのだ。
南条は眼鏡をしていないことに気づく。
眼鏡を探しているとゆきのが眼鏡を手渡ししてきた。
視力が悪いのだから眼鏡を探すにも苦労する。

「運んできてくれたのか?」

「違うよ。あっちの人物に感謝しな」

壁にもたれかかる人物を指さした。
長い髪に鋭い目付き。一般的に美形男子と言ったところだろう。
南条には美形というものはよくわからない。
ただ逆ナンパされそうな顔、ぐらいは分かった。

「誰か知らんが礼をいう。」

「・・・・・・」

「無視はないだろ、巡。」

巡と言われた男は、冷たい目で南条を見る。
見下している、に近い目をして。
南条の方は巡と聞いて思い出していた。
柊沢 巡(ひいらぎざわ じゅん)
1年の三学期に転校してきた。人付き合いが悪く、フェンシング部という噂が流れている。
確か、女性だったはずだ。
南条が区別できなかった理由は、柊沢が男物の制服を着ていたからだ。
あの教頭に文句を言われそうな格好だ。

「次は落ちるな。敷物として踏む」

「口が悪すぎだよ、あんた。そんな気ないくせに。
素直になれば可愛い女なのにさ。」

女らしさを捨てた女に可愛らしさがあるものか。普通の男なら思うだろう。
南条は柊沢の強がりを見抜いていた。
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