ロリポップメラゾーマ

□13.賭け事により犠牲
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「目ばかり頼るからいけないのよ」

一瞬なんのことがわからなかった。
意味がわかったのはマルチェロぐらいじゃないか。
急に立ち止まったマルチェロは手にしていた武器を下ろし目を閉じた。
クロノスはマルチェロの背中に張り付く。
集中したマルチェロの邪魔が来たら盾になるつもりらしい。
息をすることすら許さないと言わんばかりの雰囲気はすぐに終わった。
マルチェロが腕だけを鍵の群れに突っ込んだ。
その瞬間鍵の群れが消えてなくなったのだ。
扉に張り付く闇も消え去った。

「・・・・・・」

マルチェロが手にしていたのは本物の鍵だった。
大興奮しているオレはとりあえず兄貴に飛び付こうとした。
片手で阻止されたが。

「何があったんだよ!!その鍵は!?
こっちは問題ないから!!
兄貴たちはどうしたんだ!!」

「ククール、うるさい」

三人同時にオレを苛めるからびっくりした。
声を揃えてよく言えるものだな。
家族じゃあるまいし。
クロノスが冷静にオレらに説明をしてくれた。
オレが謎の男とポーカーをした話。オレは信頼を賭けたと。
それだけでこんな大事なるとは思いもしなかった。

「それにしてもユウコ、お手柄だね。
よく鍵を探す手段を見つけられたね」

「本物がひとつなら耳をすませば聞こえるよ」

確かに。幻は目にしているから幻なんだもんな。
オレの心が写した幻という夢に、オレは負けたんだな。
心でオレは自分を自虐していたということになる。
自分だけのことと思うような些細なことが、他人に迷惑をかけた。
自身がひねくれものだというのは、ゼシカにも散々言われたからよくわかる。
ここまでひねくれものだと笑いたくなるぐらいだが。

「とにかく帰ろーぜ。
今日一日すげー疲れた」

「誰のせいだと思ってるのよ」

「ククールがこれで賭けをやめればいい話だ。
あ、マルチェロ。夕食の買い物してない。」

「ククールが詫びでおごるそうだ。」

「はぁ!?」

おごる金なんかねぇよ。
生活費としてオレの金は全て徴収してるじゃないか。
なにで払えばいいんだ。
確か2000Gをユウコが持っていた。
それ取ったら大人げないな。
やっぱりポーカーをやるしかなさそうだ。
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