ロリポップメラゾーマ

□10.神眼を持つ者
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クロノスside

「魘されている・・・・・・」

家を買っていてよかったと思う。
タコメットを倒してから眠るように倒れたククールを見下ろす。
魘されているククールの汗をユウコが拭いている。
ククールがこの世界に来ておかしいとは思っていた。
何かに呪われたように悪夢を見ていると。
マルチェロが起こすのに手こずるぐらいの悪夢を。

「ユウコ、すまないがマルチェロと話をしてくる。
しばらくククールを見ててくれないか。」

「うん。夜食食べたいな〜
それまでには起きるかな?
汗すごいから脱水状態にならなきゃいんだけど」

「女の子に汗を拭かれりゃ死んでも本望だろうけど」

死んでもか。
悪夢で死なれたらたまったもんじゃないな。
死んでしまう悪夢を見ることがまずあるのか。

一階でおとなしく餅を焼いているマルチェロ。
ククールの汗を拭くユウコが腹を空かせているのに、どうやら餅を食べていたらしい。
まあ夜食なんか食べていたら太るんだがな。

「マルチェロ、筋肉は一歩間違うと脂肪になるぞ」

「なるほど、中年太りというやつか。
他人事ではないな。気にしてみるか」

気にしてほしいわけではないんだが。
とりあえずマルチェロの横に座り、餅を食べる。
わさび醤油がほしいという我が儘が言いたくなる。

「意外だな、ククールを半殺しにしても起こすかと思った」

「私は確かに法皇暗殺、賄賂、大量虐殺はしたが、
子どもの前で血の雨をする気はない。」

ユウコを意外にも心配しているらしい。
口では信用していないように装っているが。
もしかすると、『つんでれ』というやつか。
私には父親ポジションにいるマルチェロにしか見えない。

「悪夢が呪いに見えるか、マルチェロ」

「それ以外になんだ。
その呪いが我々に来るものか、それこそみるべきだが。」

「マルチェロは知らないかも知れないが、あれは神眼もちだ。
オディロ院長がラプソーンの気配に気づいたように、あれにもわかるはずだ。
魔物に騙されて呪いにかかるなんてそうそうない。
呪いにしては不自然だ。
しかしククール、悪夢の話を相談してくれなかったとはな。」

「数回見た程度で心配するなど甚だ迷惑な話だ。
原因が分からなければ対処しようがあるまい。」

「・・・・・・
マルチェロ、ククールを助けるつもりか?」

「借りを返しきる前に死なれては困るだけだ。」

ククールもマルチェロも似ているが、
プライドが高いな。
そのくだらないプライドを捨てることさえできれば、仲良くなれるんだがな。
まあプライドは新たなものを生むには必要なものだ。

「確かククール、魘される前にラッカランにカジノに行ってましたよね?
何かヤバイ品掴まされたとか?」

ユウコが餅の匂いにつられて降りてきた。
味付け海苔と一緒に食べている。
ククールは放置していていいのだろうか。

「明日から調査だね、楽しみだな〜」

はあ。ユウコは場を和ます天才だと思うよ。
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