長編

□それでも変われない関係
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「そうちゃん。なんで怒ってるの?」
「なんも怒ってないよ?」

と言いながらも口調はちょっときつくなっている

「ううん。すごい怒ってる。だっていつものそうちゃんの話し方じゃないもん」
「名無しはさ、今は好きな人いるの?」
「好きな人・・・うん・・・大学の友達の紹介でいる・・・かな?」
「調子はどう?」
「少し手ごたえあるかもしれない。でもわからない・・・また振られるかも」

もう好きな人が出来てしまった。それは僕じゃなくて別の人。名前を聞いても分からない。
名無しが大学行っている間の生活ぶりは全く分からないから、そこはつらい。

「うまくいってるんなら、良かった。もう振られたりなんかしないよ。こんなに苦しい思い沢山してきてるんだから」
「うん。すごく大好きだから、振られたくはないけれど・・・さ・・・」
「大丈夫。そのまま付き合えるよ。僕はいつか邪魔ものになっちゃうね」

心にもないセリフ。名無しが困るのを知ってるいのに。嫉妬が抑えられない。

「そうちゃん・・・いやだよ。そうちゃんいないと嫌だ」
「いなくても、その人いるじゃない」
「いやだ。そうちゃんがいないと・・・ぁ・・・」

名無しの瞳からは涙が流れて、はじめて泣かせてしまって・・・

「名無し!!あ・・・ごめん・・・ね?」

いつもの弱気な僕があわてて戻ってきて名無しを抱きしめた。

「ごめん。ごめんね?僕はそばにいるよ?」
「本当?いなくならない?」
「名無しと何年一緒にいると思ってるの。ごめんね」
「よかった・・・」

座り込む名無しと一緒に座って、名無しが顔を胸に押し付けてくる。心臓がどきどき激しくて、どうにかなりそうだ。

「名無し・・・」
僕じゃだめかな?

言いたかった。言えなかった。好きな人ともし上手くいっているなら
彼女を惑わせるようなことは、言いたくない。
本当に僕は意気地なし

「そうちゃん。大好きだよ」
「友達として・・・でしょ・・・?」
「・・・うん・・・」

少し自信のないような戸惑うような返事。
答えに困ってしまったのかな。今日は名無しを困らせてばかりだ。

「名無し。もう怒ってないよ。そばにいるから安心して」
「うん・・・よかった・・・」

名無しの頭をなでていると自分のものにした気分になる。もっと近づけたなら・・・
そっと額を名無しの頭に寄せたら名無しの体がぴくんと跳ねてこちらを見てきた。

「そうちゃん?あの・・・頭・・・さっき汗かいたから匂うかも・・・」
「におう?」
「ん・・・あの・・・頭臭くないかちょっと心配になっちゃって」

そんなこと気にしないのに。なんか意識されているみたい。
いや、自惚れだ。

「シャンプーのいい香り。ずっと嗅いでいたいよ」
「良かった・・・そうちゃん。まだこのままでいていい?」

胸が高鳴る。これ以上名無しがこんな至近距離にいたら理性を保てるだろうか。

「いいよ。僕が泣かせてしまったから・・・気が済むまでそばにいる」
「うん・・・」

傍から見ればラブラブすぎるカップル
でもぼくたちの中では・・・ただの親友_____




 

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