長編

□嫉妬
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紡「みなさん。台場屋外音楽堂で歌うことが決定しました!!」
陸「台場屋外音楽堂って言ったら・・・」
一織「あんな大きな会場ですか?何を考えてるんですか!!マネージャー!!」
壮五「ざっと3千人は入る規模のところだね」
紡「そうなんですよ!!初ライブは大きなところにしたいなって思いました」
環「俺たちテレビに出られる?」
紡「テレビ中継はされないんですが、その大きな会場で頑張ればテレビ出演だってできます!!!」
三月「いよいよアイドルって感じだな」
紡「そうですね。これからパート決めしたいのでお願いできますか?」
全員「はい!!」


ひとりひとり歌を歌っていく。みんなの声はどれも奇麗で十分に人を惹き付けられる声を持っている。

次は僕の番。その時、ドアが開いた

「紡ちゃん!!来ちゃったよ!!今大丈夫かな?」
紡「名無しさん!!いえいえ。どうぞ!!今みんなの歌声聴いてパート決めしてました」
「へぇ!!聞きたかったぁ」
三月「マネージャー!!俺名無しのためにもう一回歌う!!」
環「じゃあ俺も」
陸「オレも!!!」
ナギ「私も名無しの前で歌いたいです!!」
大和「おいおい。マネージャー困ってるぞー。まだソウも歌ってないし」
紡「そうですね!!皆さんライブの時に聞かせましょう。最高の声で」
三月「そうだな!!そっちの方が名無しにかっこよく見てもらえそう」
「ライブ?紡ちゃんライブってどこかでするの?!」
紡「はい。近々台場屋外音楽堂でライブすることに決めまして」
「わぁ!!絶対行く!!」

という感じで、話は盛り上がっちゃって、僕まだ歌ってないんだけどな・・・?

「あれ?そうちゃん歌ってないて大和さん言ってたよね?歌って歌って!!」

そうちゃんとっても歌うまいんだよっって、ハードルを上げてきた。やめて。胃が痛くなってきた。

大和「へぇ?名無しちゃんが大絶賛するんならすげーうまいのな?」
壮五「そんなことないですよ!!う、歌いますね!!」

名無しがみてる。いつもカラオケでは普通に歌えるのになんか緊張が・・・
それでも、僕はいつもどおりに歌った・・・いやもしかしたら声震えていたかもしれない
静まる部屋。外したか?

陸「壮五さん歌うまいんですね!!すごい別人のように奇麗な声です!!」
壮五「そんな、陸くんには及ばないよ」
環「うまかった。いつものそーちゃんと違った。かっこいい」

皆々が大絶賛。ちょっと照れる。うれしいな・・・

「そうちゃん!!さすがだね!!!」

名無しも拍手してくれて今日一番自分の中で盛り上がれたかもしれない。

「紡ちゃん!!絶対にみんなスーパーアイドルになれるね!!」
紡「そうですね。というかスーパーアイドルにします」
「ライブ楽しみだな。チケットできたら教えてね?買うから!!」
紡「はい!!ぜひ!!!」

マネージャーは「みなさんの歌を聴いていろいろきめてきますね」と言ってレッスン室から出て行った。残った僕たちも今日は部屋で待機らしい。

三月「名無しがライブに来てくれるなんてすっげーうれしい!!」
環「ぜってぇ名無しが俺にしか向けないように歌う・・・」
なぎ「タマキたちに負けません。私、歌も、顔も、知性もどれもベスト!!!負けません」
大和「おまえたちだいぶ火花散ってるぞー。まぁおれも名無しにキャーって言ってもらえるように頑張るけどね」
一織「皆さん・・・まずはその邪心を払ってしっかりライブに専念してファンを獲得しなくては・・・」
大和「まぁまぁ。燃える物があるだけで結構人の魅力は増すんだぜ」

そういうと何故か大和さんは、名無しにパチンとウィンクをした。
そのウィンクに腹がったった。そもそも名無しにも腹が立つ。すごいにやけちゃって嬉しそうで。
なんだかもやもやした

「今日はもうレッスンもないから、戻ろうよ」

抑えきれない嫉妬心。早く名無しをこの人たちから遠ざけたい。大切な仲間だけど、どうしても名無しに関わられるとイラついてしまう。

大和「嫉妬かぁ?ソウ」

耳元で小さく囁いてきた。
壮五「なっ・・・!!!」
三月「顔に出てるぜ?」
なぎ「やっぱり、ソウゴも好きなんですか?!」

いたずら大好きな3人。こういうことを言うのもやっぱ彼らで、
にやにやしている。僕がイラついているのを知って楽しんでる・・・

大和「素直になれよ。好きなんだろ?」
壮五「そんなこと・・・」
なぎ「ないのですか?」

3人に茶化され動揺する。僕は名無しの親友であって、決して彼女はこっちを向いてくれるわけもなく・・かなわない恋

「ただの親友としか思ってませんよ」

にやにやをかわして、名無しの方へ行く。

「部屋、戻るけど名無しは戻る?」
「あ、戻るの?!」

環君たちと楽しそうに会話している名無しとは対照的に、僕の顔はきっと笑っていない。
微笑んでいるつもりだけど

環「そーちゃん。なんか顔怖いよ?」
陸「もしかして怒ってる?」
一織「そりゃ怒りますよね?」

そのあとの言葉をあえて言わない一織くんはやっぱり空気をよく読む男だ

「そうちゃん戻るなら私も戻ろうかな」
「いいの?楽しそうに話してるけど」
「いいのいいの!!そしたらみんな先に部屋戻ってるね!!!」

陸「うん!!また明日!!」
環「王様プリンの約束忘れないでね」

僕はなぜか早足で名無しを置いて行った
それを追いかけてくる名無し

「そうちゃん!!早い早い!!まってよ」

振り向けば名無しが走ってきて僕の背中に体当たり

「もう!!なんで怒ってるの?部屋戻ったら、おやつ食べよ!!買ってきたから」
「うん・・・」

そんな 僕たちの後姿を彼らは見ていた。



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