おそ松さん夢

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「日野 茉莉...六つ子のいとこでありながら公務員の内定を持つ...仲がいいのは次男、四男...最近は末弟とも...。」


「松野6兄弟...長男から末弟まで総じてクズ。しかし、いとこである茉莉を大切にしている素振りは前回のアイドル事件で実証済み。大なり小なりいとこを大事にしてるのは分かったざんす...」
暗闇の中から男性の声。我々はこの声の主が誰か知っているッ!
スポットライトが声の主を照らし出した!

「全国の読者のみなさーん。イヤミざんす。イヤミレースは失敗に終わったざんすが、まだ諦めてないざんす!」
やっぱりイヤミだった。またお前か。

「またってなんざんす!ミーが主役じゃないおそ松さんなんていらないざんす!...こほん!今回は茉莉を全力で利用するざんす」

「ミーが主役を張るのは後回し。まずは邪魔な六つ子共通の大事な従姉妹をミーの手中に収め、意気消沈させるざんす!」
ほう。で具体的な方法は?

「そんなの教えるはずないざんす!あっち行くざんす!シッシッ!」
そう言うとイヤミは古ぼけた椅子から立ち上がりスポットライトから姿を消す。
恐らくイヤミ史上1番の悪事がこれから始まろうとしているのだ。

ところで六つ子たちはといえば。

「カンバッチかっこいいよカンバッチ!」
茉莉はテレビを指さしてやや興奮している様子

「お?茉莉はカンバッチなんて好きなの?お兄ちゃんが今度買ってきてあげようか?」
ポッケから数個ビールの王冠を取り出す。おそくんはそれを私に渡すが違うのだ

「おそ松兄さん知らないの?茉莉ちゃんが言ってるカンバッチって言うのはドラマの主演してる人だよ?今女の子の間で大人気なんだよ」
トドくんさすが。女子のツボを押さえているだけある。

「ほー。...えー?そんなカッコよくなくね?イタさで行ったらカラ松と変わりないぜ?」
なんて失礼な事を!

「なんか呼んだかおそ松」
呼ばれてみればなんとやら。カラくんも何故呼ばれたかは分からないが自分の名前を呼ばれ居間に来たようだ。

「いや、茉莉がこの俳優かっこいいって言うから。イタさはお前並みって言ったとこ」

「......」
静かに私たちに背を向けプルプルと震わせる

「あー、おそ松兄さんカラ松兄さんのこと泣かせたー。」

「ちょっとおそ松くんそれはないよ。」
私もトドくんに賛同する

「俺ェ?」
若干の不服さがあるのか私を見て呟く。そうだよ!おそくんだよ!




「CRただいまー!」
「ただいまー。十四松が今日パ、チンコの女神が降りてきたみたいだったよ!見てるこっちが清々しくなったよ。」
奇跡的に卑猥な文が...!?
まぁそれはさておき。じゅーくんとチョロくんが帰ってきたようだ。

「あ、みんなこれ食べて!」
帰ってきて早々にじゅーくんがカップケーキを取り出した。色とりどり。かわいい。

「それね、イヤミがくれたんだよ。」
プロデューサーが?なんで?
チョロくんの言葉に疑問を感じている

「なんでもカップケーキ屋を始めたらしいんだよ。イヤミの奴。それで茉莉に買っていこうとしたらこの前のお礼って僕らの分くれたんだ。」
へぇープロデューサー今そんなことしてるのか。

「赤塚区の児童養護施設にチーム食物連鎖を名乗る人物により現金が送られてきたニュースです。金銭が少ない事を謝罪する書面も同封されていたようですが施設長の聖澤さんによれば気持ちが嬉しいのであって金額は二の次と心温まる言葉をチーム食物連鎖さんへ送っています...」
ニュースでは前回寄付した現金について報道している。
いいニュースと捉えられて私は嬉しい。

「はい。茉莉ちゃんはオレンジでいいよね?」
カラフルなカップケーキのうち割り当てられたのはオレンジ色。

「あ、ほら十四松。アレ渡さなきゃ」
そうチョロくんが言うとじゅーくんはポッケから小袋を取り出す。

「家宝にすっぺー!!!」
謎の言葉と共にカップケーキに砂糖のようなものがかけられた。

「それをかけてから食べろって話されたの忘れてた。どうせならちゃんとしたの食べたいしね。」
チョロくんがみんなのケーキにも粉を振りかけていく。

「...あれ。ごめんカラ松兄さん。粉無くなっちゃった」

「NO!!?なぜだ!」

「茉莉ちゃんの奴に大量にかかったもんね。仕方ないよ。」
トドくんは気にせずもうケーキを口に入れた。
「カラくんごめんね!?」

「No problem.俺は茉莉のお兄ちゃんだからな」

「いたいよねぇー!」

とりあえず頂きますをして私たちはカップケーキを食べた。
(先に食べてたトドくんは除いて)

ドサッ...
トドくんが倒れた。え?ちょっと?

「トド松大丈夫か!?おい!...ぉ」
チョロくんがトドくんをゆり起こそうとするが効果なし。かと思えば...チョロくんまで倒れた。

そんな私も意識が遠ざかった。
あっ...もうダメだわさー...。

ドサッ...





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「...ただいま」
今帰ってきました。一松さんです。

「なに?誰もいないの?」
はい、今一抹の不安を感じた方。
大正解です。

「なんだみんないるじゃん。寝てるし。茉莉まで」
サラサラとした茉莉の髪をひと房持ち上げ香りを嗅いだ。
ムズムズと何かが立ち上がるのを感じた一松はすぐに茉莉から離れた。

「やっぱ、いい臭い。...ケーキじゃん」
ちゃぶ台の上に残された自分のイメージカラーのカップケーキ。
恐らく自分のために残してくれたのは明白だ。

「食っとこ。...スンスン。これ防腐剤の匂いひどくない?」
そんな悪態を付きながらも彼はカップケーキを1口でたいらげた。

「ふぐぅ...」

ドサッ...

彼もまた、イヤミの罠にハマった一人となった瞬間だ。
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