短編

□さよならのその前に
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ごめんな、ミシェーラ。
お前の目を、取り戻してやれなくて。
こんな兄貴でごめんな。


薄れる意識の中で、ミシェーラに対する謝罪が脳を過る。
そして目に入るのは、愛しい人の目を見開いた顔。
あぁ、せっかくかっこいいんだから、そんな情けない顔、しないで下さいよ。
そう言ってやりたいけど、もう僕に残された時間は少ないらしい。
ならば最期に貴方に伝えよう。
周囲の音に、今の僕の声が勝てるとは思えない。
けれども、貴方に伝わったらいいのに。
そんな想いを込めて。

『…………………』

やっぱり打ち消されちまったか。
なんて呑気に考える暇も無く、走馬灯が過る。
ミシェーラと過ごした、幼き日の思い出。
そして神々の義眼という恐ろしいものを手に入れたその日のこと。
ソニックとの出逢い。
ライブラのメンバーとの出逢い。
ブラッドブリードとの闘い。
貴方と過ごした日々。
その全てを見て、後悔が残らないか。と聞かれれば、けしてイエスとは言えない。
それでも、それでも。
この日々は確かに幸せだったのだ。
そう感じながら、僕は目を閉じた。












 
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