小説U

□第一章 全てはここから始まった。
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五月八日。快晴。これほど気持ちの良い朝は久々とあって、気持ちが良い。
そのせいか、ふと見ると自転車に乗った男が大あくびをしている。彼はそのまま校門をくぐり、自転車を止めた。彼の名は、朝倉祐樹(あさくら ゆうき)。24歳独身。職業は理科教授だ。都内のわりと有名な女子進学校に勤めており、今まさにその勤務先についた所だ。チャリ置き場でお気に入りのマウンテンバイクにカギをかけていると、ここの生徒と思われる少女が一人、朝倉に向かって走ってきた。そしていきなり気が付かずまたあくびをしている朝倉をドンッと押す(叩く?)
一人の少女の力などしれている、ましてや相手は24の男・・・な、ハズが、不意打ちというものは思いがけない奇跡を生み出すらしい。朝倉は、横っ飛びに吹っ飛んだ。
「おはようございます。朝倉センセ。朝からそんな大あくびしてちゃダメじゃないですか。それにしても、もしかして私って馬鹿力??」と朝倉の頭上で少女の声。朝倉は自己嫌悪にとらわれながらも立ち上がり、
「岩崎ぃ、朝から今日も元気だな。でも何でここに居るんだ? チャリツーじゃないだろ?」とだけ言った。するとその“馬鹿力”は、また自分の力を発揮し、朝倉を叩き、(殴り?)
「さてここで問題です。今日は何月何日何曜日地球が何回回った日、何の日でしょうかっ!」 と言った。分からなかったらお前を言った回数分太陽の周り回しちゃると言わんばかりだ。
「ちょっとまった!今日は・・・五月八「まともに答える奴があるか!」朝倉がせっかく必死に日にちを思い出したというのに、岩崎と呼ばれた少女(むしろ少年?)はお構いなしだ。その上朝倉は抜けているところがあるものの一応教師である。それに向かって怒鳴るとは、この少女、将来大物になるかもしれない。((苦笑  朝倉は考えた。『こいつと俺の接点は、バトミントン部だけだ。俺が顧問、こいつが部長。それにこいつがこんなに熱心になっていると言うことは間違いなく部活のことだ。・・・ヶド?』探偵にでもなったかの様な気分で考えていた朝倉は、自分に迫る危機にまったく気が付かず、またしても少女の馬鹿力を思い知る羽目になった。
「痛ぁ。お前さ、普通殴るか? “馬鹿力”決定だな。部員に知らせといてやるよ。部長を怒らせるとウルトラマン顔負けのチョップされるぞって。」
「良いですよぅだ。別にそんな事言ってもだぁれも信じませんもん。うちの可愛い可愛い部員さんたちの間では“優しい岩崎部長”で通ってますもん。それじゃぁ私もみんなに言っちゃいますよ。朝倉先生が今日が大事な大事な何の日か忘れちゃったってね。大事な体験入部の日なのに。」
「あぁそうかって・・・別に言っても良いぞ。皆そこまで新入部員獲得に熱心じゃないだろ。お前だけだって。」
「先生のあんぽんたんーおたんこなすー恥知らずー。何考えてんですか。今回こそ新入部員たんまりGETしなきゃ。いっぱい獲ったらそん中の一人くらいはめちゃめちゃうまくなるって!そうすれば県大会まで行けるかもしれないじゃないですかv」
「・・・お前な、それこそ大事な大事な未来のバトミントン部員を実験台のモルモットみたいに言うなよ。かわいそうだろ。」
紹介が遅れたが、朝倉に突っ込まれぷぅとふてくされている少女は岩崎弘美(いわさき ひろみ・小説@とはまったく関係無い上、モデルもいない)。もうお分かりと思うが、朝倉率いる(?)バトミントン部の熱血部長だ。岩崎は何か考えているようだったが、おもむろに口をきいた。
「ねぇ、センセ。さっきからずっと気になってるんだけどっ、ウルトラマンってチョップすんの?しないでしょ?」
いきなりマジメな顔して何を言い出すかと思ったら。そんなことを考えていたらしい。まぁ、そんなキャラクターだから皆なついてもいるんだろうが。朝倉が眉をしかめているのでさしずめそんなことを考えているんだろうと思ったのだが、    違った。
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