拝啓、愛しい貴方へ。

□第1章
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ここは、吸血鬼の支配する地下都市、サングィネム。

ここに、愛し合う二人の吸血鬼がいた。

その名は、フェリドバートリー。第七位始祖の貴族である。

もう一人の名は、華。第十六位始祖の貴族。

この二人は、主従関係でもありながら、恋人同士でもあるのだ。

もちろん、お互いがお互いを愛している。

華は、生まれつき何故か人間の血
が飲めずに、人間の血を嫌い避け続けてきた。

もちろん、自ら吸血鬼に血を与えるような吸血鬼もいない。血が足りなければ鬼となってしまう。

それで苦しんでいた華をフェリドが拾い、ずっと傍に置いてきた。

フェリドは、吸血鬼の血しか飲め
ない華を興味本位で育てていた
が、成長するにつれどんどん自分
に服従していく、そして美しく成
長していく華にいつしか恋という感情が浮かび上がった。

もちろん、それはフェリドだけで

はなく華も同様だった。初めてフ

ェリドの血を飲んだ時、なんと美
味な血であろうと思った。

それに、自分に向けるあの何とも
怪しい笑みが、華はたまらなく好
きだった。

いつしか華の心にはフェリドしか
いなくなっていったのである。

この物語は、愛し合う二人が人間
の手によりひきはがされ、そして

いつかまた再会するた
めにそれぞれの道を歩み始める。

そんな二人の純粋な、一途な愛の
物語である。
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