桐生夢小説
□娘
2ページ/6ページ
部屋の外で名嘉原が落ち着くのを待つ幹夫と芽依。
芽「ごめんなさい。私の説得が下手だったから。」
幹「いえ!姐御は十分やってくれました!あとは桐生の兄貴に頼むしか。」
芽「え?桐生さんも呼んだの?」
幹「はい!今、兄貴が・・・あ。」
タイミングよく桐生がやってきた。
力「親父は?」
幹「ダメです。せっかく姐御が頑張ってくれたってのに。」
桐「芽依、怪我はないか?」
芽「ええ。でも、名嘉原さんはかなりお酒も入ってて。」
桐「そうか・・・。」
桐生は芽依から名嘉原の話を聞き、部屋へと入っていった。
名「ん?今度は誰だ。」
桐「荒れてるらしいな。」
名「なんだ、桐生さんじゃねぇか。あんたが来たって話すことはねえぞ。」
桐「まぁそう言うなよ。話は聞いたぜ。」
名「・・・っち!」
名嘉原は酒を飲む。
桐「咲はあんたが嫌で出ていったんじゃねえよ。」
名「だから、なんで咲でもねぇ奴にわかるってんだよ!」
桐「俺も・・・孤児だったからな。」
名「な、なに?」
桐「そして、俺をそだててくれた人も極道だった。」
名「・・・。」
桐「実の親の顔を知らない俺にとっては、その人が親だった。感謝の気持ちを忘れたことはない。それはきっと、咲も同じだ。」
名「・・・。」
桐「だが、まだあの子は子供だ。実の親が恋しくなることもあるだろう。」
名「そういう、もんか・・・。」
桐「あぁ。だから、あんたは安心して咲を迎えに行けばいい。」
名「・・・だめだ、やっぱり出来ねぇ。もしそうだとしても、実の母親を選ぶに決まってる。」
桐「・・・なら、俺が咲から話を聞いてやる。」
名「え?なんでお前さんが・・・。」
桐「俺もあんたと一緒で、目の前で困ってるガキがいると放って置けない性質なんだ。」
名「ちょっとあんた!俺はあんたから土地を取り上げようと。」
桐「安心しな。別に、先を連れ戻したところで土地の話を持ち出す気はねぇよ。」
名「お前・・・。」
桐「あんたのとこの若いの借りるぜ。」
そう言って出て行く。
桐「行くぞ力也!」
力「はい!兄貴!」
桐「芽依も、来てくれるな?」
芽「はい!!」
名嘉原のことは幹夫に任せて3人は咲を探しに行った。