桐生夢小説

□気持ちと旅立ち
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それから数日が経った。

芽「え?桐生さんと遥ちゃんが沖縄に?」

狭「ええ。明日の朝には沖縄へ行くって言ってたわ。」

芽「そう・・・なんだ。薫ちゃんも一緒に行くんだよね?」

狭「私は行かない。アメリカに行く事にしたから。」

芽「えっ!?」

狭「警視庁に新設される部署の実地訓練があってね。そこの教育係に誘われてるの。」

芽「でも、桐生さんは・・・。」

狭「・・・確かにあの人とは色々なことがあったけど、今は自分がどれだけいけるか試してみたいの。」

芽「・・・。」

狭「そんな顔しないでよ。彼もわかってくれたから。」

芽「そうなんだ・・・。」

狭「それにね・・・。」

芽「ん?」

狭「あなた、自分の気持ちに嘘ついてない?」

芽「え?」

狭「刑事の観察力ってやつかな。私は最初に会った時からそうなんじゃないかなって思ってた。」

芽「・・・。」

狭「ごめんなさい、辛い思いさせちゃって。」

芽「謝らないでよ・・・私が・・・臆病なだけで。」

狭「何言ってんの!世界一の空手家でしょ!?臆病なわけないじゃない!」

狭山は芽依の手をとる。

狭「あの人の事・・・任せられるのは貴方しかいないわ。だから、頑張って。」

芽「薫ちゃん・・・。」

狭「じゃあね・・・またこっちに来ることがあったらお茶でもしましょう!」

そう言って狭山は去っていった。

すると、芽依の携帯がなる。

芽「もしもし。」

桐「今時間大丈夫か?話したいことがあるんだ。」

芽「・・・わかりました。」

セレナで待ち合わせをすることになった。

桐生と遥がやってくる。

桐「呼び出して悪いな。」

芽「いいえ。」

桐「実はな、俺たち沖縄に行くことにしたんだ。」

芽「・・・薫ちゃんから聞きました。養護施設をやるって。」

桐「・・・そうか。」

芽「沖縄じゃ・・・なかなか会えなくなりますね。」

桐「そうだな。」

芽「・・・手紙・・・待ってますから。」

桐「わかった・・・。」

静まり返るセレナ。

狭山の勇気を出してという言葉が頭を駆け巡る。

芽「桐生さん・・・私。」

桐「ん?」

芽「・・・。」

桐「・・・どうした?」

芽「・・・沖縄に行ったことないんです!もし行く事があれば案内してくださいね!」

桐「あぁ。それまでにいい場所探しておくよ。」

芽「・・・はい。」

遥は心配そうに芽依を見ていた。

そんな遥の頭を優しく撫でる。

芽「またね、遥ちゃん。」

遥「うん・・・。」

芽依は告白をする事ができないまま、桐生と別れてしまった。
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