桐生夢小説
□再会
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桐「なぁ、東城会の過去を調べる為に俺に近づいたと言っていたな・・・盗み聞きするつもりはなかった。」
狭「・・・そこまで分かっていて、なぜ神室町に連れてきたの?」
桐「東城会と聞いたからな。」
芽「・・・。」
狭「興味があるの?」
桐「あぁ。何があったのか教えてくれ。」
狭「私は本当の親を知らないまま育ってきたの。小さい頃から病気で死んだと聞かされていたけど、ママが何か隠してることは薄々感じてた。」
桐「・・・。」
狭「そんな時ママが電話で怒鳴ってるのを聞いちゃってね。薫は東城会のせいで不幸になった・・・て。」
芽「え。」
狭「あの時ママは私の過去を知っている人と話をしてたんだと思う。それから10数年、何度となくママにその事を聞いても何も教えてくれない。そんな事を聞いても幸せになれないって。」
芽「・・・。」
狭「でも、ママを問いつづめ続けるのは私も辛い。だから警察官になって自分自身で調べる道を選んだの。」
桐「お前は両親を東城会に殺されたと思ってるのか?」
狭「これだけ自分の生い立ちを隠されたらそう推測するのが普通でしょ?」
桐「それを確かめる為に、身辺保護の名目で俺に近付いたってわけか。」
狭「相手に手の内がバレちゃ刑事失格よね。」
桐「お前の気持ちわからないでもない。」
狭「え?」
桐「俺にも隠された過去があった。」
芽「・・・。」
桐「だが、俺はそれを知ってしまった事で苦しかった。知らないほうが良かったとさえ思った。」
芽「桐生さん・・・。」
桐「もしかしたら人間には、知らなくてもいい過去があるんじゃないのか?」
狭「それは自分の過去を知っている人のセリフよ。」
桐「そうかもしれないな。」
芽「・・・。」
桐生と狭山を見る芽依。
桐「・・・どうした。」
芽「い、いえ!・・・ところでこれからどうするんですか?」
桐「俺は賽の河原へ行きたい。」
芽「あ、あそこは今・・・。」
桐「ん?」
狭「何がある場所なの?」
桐「行けばわかる。芽依、何か知ってるのか?」
芽「いや・・・その。」
その時、芽依の携帯がなる。
芽「ちょっとごめんなさい。」
桐生達から離れる芽依。
芽「もしもし?真島さん?今ちょっと。」
真「隠しても無駄やでぇー!桐生ちゃんと一緒におんのやろ?」
芽「え!?なんでそれを!」
真「俺の部下が桐生ちゃんが芽依ちゃんの店に入るとこみとったんやぁー!お前は出世や!給料アップ!!」
「やったー!」
喜ぶ男の声が聞こえる。
芽「そんなんで給料アップって。」
真「うっさいわ!!いいからはよ桐生ちゃん連れてこんかい!!」
芽「け、喧嘩なら私が相手しますから!」
真「何言っとんねん!ワシは桐生ちゃんと久々に会いたいだけや!協力してーな!」
芽「・・・本当に会うだけですよね?」
真「おう!会ってみないとわからへんけどな!」
その言葉に深いため息を吐く。
芽「わかりました。ちょうど賽の河原に用があるみたいだし、連れていきますよ。」
真「よっしゃ!!頼んだでぇ!」
芽依は電話を切り桐生の元へ戻る。