桐生夢小説
□別れ
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警察が出てくるが、桐生は一向に出てこない。
芽「桐生さん!!」
真「危ないで芽依ちゃん!!また爆発するかもしれへん!」
芽「嫌!!桐生さん!!」
「高柳 芽依さんですね?」
メガネをかけた刑事が話しかけてくる。
芽「あなたは?」
「私は伊達刑事の後輩の須藤です。これをあなたに。」
一枚の紙を渡す。
須「では、私はこれで。」
芽依が紙を広げると、伊達の文字で何かが書いてあった。
真島も後ろから覗き込んだ。
伊《芽依、安心しろ。桐生も遥も無事だ。》
芽「よかった。」
伊《しかし、由美は神宮に撃たれて死んでしまった。》
芽「え。」
伊《その神宮は錦山と一緒に爆死した。》
芽「・・・そんな。」
真「錦山・・・。」
伊《俺は、ここから桐生を逃す。亡くなったみんなの為、なにより遥の為にも桐生は生き続けなきゃならねぇ。》
芽「・・・。」
伊《だから、お前も無茶なことはせずに生きつづけろ。これ以上桐生を悲しみに沈めないでくれ。》
真「・・・。」
伊《落ち着いたら桐生にも合わせてやる。俺を信じて待っていてくれ。》
そこで手紙は終わっていた。
真「・・・なんだかこの金は、大変な金やったんやな。」
芽「ううっ。」
涙をポロポロ流しその場に座り込んでしまう。
真島はタバコを取り出し、一服した。
芽「せっかくお見送りに来てあげたのに、遅いわね桐生さん。」
遥「おじさんの事だから、また何かトラブルに巻き込まれてるんだよ!」
芽「あはは!そうかもね!」
すると、伊達の車が目の前に止まる。
伊「よぉ、待たせたな。」
その隣には桐生が乗っていた。
桐生は伊達と別れの挨拶をし、こちらに向かってきた。
桐「すまない、待たせちまったな。」
遥「ううん。芽依さんもいてくれたし、この子と遊んでたから。」
遥の横には、前に助けた犬が座っていた。
遥「私、もう行かなくっちゃ。元気でね。」
そう言って犬の頭を撫でる。
桐「連れていくか?」
遥「ううん。ここにいればこの子はお母さんに会えるかもしれないし。」
すると遥と同じくらいの女の子が、お母さんを呼ぶ声が聞こえる。
「お母さーん!」
「ごめんねゆうちゃん!遅くなっちゃった。」
「ねえねえお母さん!今年もサンタさん来てくれるかなぁ?」
「そうねぇ。ゆうちゃんがいい子にしてたらきっと来てくれるわ。」
「じゃあ私いい子にする!」
そう言って去っていく。
遥「おじさん!」
桐「ん?」
遥「帰ろ!」
桐「・・・あぁ。」
すると遥は桐生と芽依の間に入り手を繋いできた。
遥「・・・いい?」
芽「もちろんよ。」
桐「・・・行こう。」
遥は嬉しそうに笑った。
遥「ねぇ!おじさんは何歳までサンタさん信じてた?」
桐「え?いやぁ、いくつだっけなぁ。」
芽「桐生さんでも、信じてたんですね!」
桐「え?」
遥「ふふふ!」
桐「悪かったなぁ。」
3人は本当の家族のように手を繋ぎ笑い合った。