桐生夢小説
□別れ
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しかし、由美と神宮は結婚する事はなかった。
総理の娘との縁談の話が来たからだ。
芽「・・・由美さんは身を引いたって事ですか?」
桐「あぁ。」
そのことがきっかけに歯車が狂う。
ある記者が由美と遥の情報を手に入れ神宮を揺すってきた。
その記者は殺され、世良に死体の処分の協力を頼んできた。
今後同じ事が起こらないためにと、神宮は由美と遥の命を奪おうとした。
世良は神宮の思いを受け止め、2人を殺しに行った。
それを救ったのは風間だった。
その時、風間が持っていたピストルを見て、由美は完全に記憶を取り戻した。
芽「・・・。」
桐「その後おやっさんは、世良会長を説得し、神宮の目からあざむく工作をした。」
それが、美月という存在。
由美の顔を整形し、戸籍なども全て偽装した。
幼かった遥はヒマワリに預けた。
全て風間と世良の考えだ。
そして、由美が盗んだという100億の金は東城会の金ではなく、神宮の金だった。
実際に盗んだのは由美だけではない。
由美と風間、そして世良だ。
神宮は東城会を使ってマネーロンダリングをしていた。
マネーロンダリングとは、麻薬などの犯罪行為で得た不正資金、賄賂など口座から口座へと転々とさせ、資金の出所や受益者をわからなくする事だ。
風間は神宮を失脚させるためにその100億を盗む計画をたてた。
それに由美はのってきたのだ。
桐「・・・真実を全て話した後、おやっさんは・・・亡くなった。」
芽「え。」
桐「・・・おやっさんの意思を注ぐため、俺は今からアレスへ向かう。」
芽「・・・私も行きます!!」
桐「・・・。」
芽「私が寝ている間・・・そんな大変な事があったなんて・・・。」
芽依は下唇を噛んだ。
芽「私も、連れて行ってください!」
桐「・・・来るな。」
芽「え?」
桐「・・・俺は・・・もう誰も失いたくない。」
芽「・・・。」
桐「もう誰も・・・死なせたくないんだ。」
芽「桐生さん・・・。」
桐「俺は報告をしにきただけだ。傷もまだ完治してないんだろう?無茶はするな。」
芽「・・・。」
桐「じゃあな。」
桐生は出て行った。
芽「・・・。」
芽依は黙ってベッドから起き上がり、私服へと着替えた。
柄「話は終わったのか?」
芽「・・・。」
柄「傷はまだ治ってないんだ。動いたらまた傷口が開くぞ。」
芽「・・・そんなの関係ありません。」
柄「・・・。」
芽「私・・・桐生さんを助けたい。遥ちゃんに笑顔になってもらいたい!!!止めたって無駄ですよ!!!」
柄「・・・誰が止めるなんて言った。」
ポイっと何かを投げる柄本。
それをキャッチすると薬だった。
柄「痛み止めだ。もしまた撃たれても安心しろ。俺が必ず助けてやる。」
芽「柄本先生・・・。」
柄「さぁ、行ってこい。」
芽「・・・はい!」
芽依は走ってアレスへと向かった。