土方夢小説

□喪失
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琴は、待ってくれているお客のためにも亜紀の為にも、お店を開けることにした。

営業中はいつものようにニコニコしている。

「琴ちゃん!!オムライスね!」

琴「はーーい!」

山「土方さんもくれば良かったのに。」

山崎は1人、琴の観察のため店に来ていた。

山「まぁ・・・そういうわけにもいかないか。」

銀「・・・。」

銀時は黙って琴の店で食事をしていた。

そして、閉店後。

琴は1人河原へと向かう。

しばらく座り込み、涙を流す。

琴「・・・お母さん、お父さん。」

そして立ち上がり、川の方へと歩いていく。

琴「・・・こんな・・・こんな娘で・・・ごめんね。」

そしてゆっくり、川の中へ入っていく。




















誰かが琴の腕を掴む。












土「何やってやがる!!」

琴「ひ、土方さん・・・。」

おどろく琴だったが、土方の手を振りほどこうと暴れる。

琴「離して!!」

それでも離さない。

静かな夜にジャバジャバと水の音が響き渡る。

暴れる琴の腕を引っ張り、抱きしめる土方。

琴「離して!!離してよ!!」

土「離すわけねぇだろ!!」

琴「どうして!?私がどうなろうと貴方には関係ないでしょ!?」

土「・・・。」

琴「離せ!土方!!」

それでも離さない土方。

琴「ううう・・・どうして・・・。」

琴は力を抜いた。

土「・・・逃げるのか。」

琴「え?」

土「罪悪感・・・開放感。色々な気持ちから、お前は逃げるのか!!」

琴「・・・ううう。」

土「お前のこれからの使命は・・・殺した奴らの分も生き、これからの出会いを大切にし、周囲の人間を幸せにすることだ!!」

琴「でも・・・。」

土「・・・俺にも・・・今のお前みたいな時期があった。」

琴「・・・。」

土「けど・・・生きていたら・・・俺は近藤さんに会えた。真選組にも出会えた・・・そして、お前にも。」

琴「土方さん・・・。」

土「死んだ奴らのためにも、お前の・・・琴の両親・・・何より自分のために、生きろ!」

そんな言葉に涙を流し、抱きしめる土方の背中に手を回す。














銀「出番、取られちまったか。」

銀時は黙って万事屋へと帰っていった。
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