真田夢小説(ハム子)★完結★
□別れ
2ページ/8ページ
公子はコロマルの散歩を真田と一緒にしていた。
いつものルートの長鳴神社へたどり着いた。
真「ハァ・・・お前に任せて走るだけでもいいトレーニングになるな。」
コ「ワン!!」
公「ハァハァ・・・ちょ、ちょっと休憩・・・。」
真「こんなんでバテるなんて、まだまだだな。」
公「ずっと走ってて疲れない先輩が化け物なんです!」
疲れたーとベンチに座る公子。
その隣に真田も座った。
コ「ワフッ!!」
コロマルは楽しそうに砂場で遊ぶ。
真「あんまりゴロゴロするなよ。洗うの大変なんだからな。」
コ「ワンワン!!」
公「ふふっ。」
真「昔、捨て犬を拾ったんだ。だが、孤児院じゃ飼えなくてな。」
公「えっ、それじゃあ。」
真「いや・・・飼えなくてもいいが、また捨てるのは嫌だって事になってな。なんとか飼ってくれるところを見つけたんだ。」
公「そうなんですね、よかった。」
真「・・・シンジが来たせいか、昔のことを色々思い出すよ。」
公「いい思い出ですか?」
真「まぁ、今思えばいい思い出だな。」
真田は公子を見る。
公「・・・な、なんですか?」
真「その・・・お前はシンジといて楽しいか?」
公「えっ・・・はい。楽しいです・・・けど。」
真「そうか・・・。」
公「で、でも・・・。」
真「ん?」
公「こうやって真田先輩と・・・一緒にいれて・・・。」
真「・・・。」
見つめ合う2人。
公「私・・・嬉しいです。」
コ「ワフッ!!」
真「おわっ!!」
突然現れたコロマルに驚く真田。
真「な、なんだ。もう満足したのか?」
コ「ワン!」
公「・・・じゃ、じゃあ・・・帰りましょうか。」
真「そ、そうだな。」
2人が寮に帰ると順平と荒垣が話していた。
順「お、おかえり!」
公「た、ただいま。」
真「じゃ、じゃあ・・・お、俺は風呂にでも入るかな。」
公「わ、私は明日の用意でも・・・。」
荒「ん?」
不自然に別れる2人に首を傾げる順平達。
コ「ワン!!」
コロマルの鳴き声に周りを警戒する真田と公子。
公「・・・ふぅ。アイギスはいないみたい。」
真「・・・。」
すると階段からひょっこり顔を出すアイギス。
ア「真田先輩と公子さんはとてもいい感じだったと言っています。」
真「うわっ!」
公「なんでそんなところにいるの!!」
ア「あなたを迎えに来ました。健康チェックします。」
公「も、もう大丈夫だから!」
コ「ワフッ!」
ア「公子さんは真田先輩と一緒にいれて嬉。」
アイギスの口を塞ぐ公子。
公「あはは!何言ってんのかしらねコロちゃん・・・。」
コ「キュ、キューン。」
コロマルは公子の殺気にビクビクする。
公子は無理やりアイギスを3階に連れて行った。
真「お、俺はもう寝るぞ!」
順「あれ?風呂じゃなかったんすか?」
真「・・・くっ。」
真田は部屋に戻り、風呂の準備をした。
順「コロマルーよく教えてくれたなー。」
コロマルの頭をわしゃわしゃと撫でる。
荒「・・・たっく。んな事わざわざ言わなくたってみんな気づいてるっての。」
順「あ、でも桐条先輩は気がついてないかも。」
荒「あぁ・・・あいつは金持ちのお嬢様だからな。鈍感なんだろ。」
順「いいよなー青春。やっぱり青春に恋はつきものだよなー!」
荒「・・・。」
順「先輩は好きな女の子とかいないんすか?」
荒「・・・いねえよんなもん。」
すると公子が再び降りてきた。
順「ん?忘れもんか?真田先輩ならもういないぜ?」
公「さ、真田先輩は関係ないでしょ!!」
公子は荒垣の前に立つ。
荒「・・・んだよ。」
公「これ!荒垣先輩のですよね?」
公子は古びた懐中時計を荒垣に渡す。
荒「これは・・・。」
公「前に話してるの思い出して、黒沢さんに聞いてみたんです!そしたら届けてあったみたいで!」
ニッコリ笑う公子をみる。
荒「・・・なんでお前が持ってくるんだよ。」
公「え?」
荒「・・・。」
荒垣は公子をギュッと抱きしめた。
公「へ!?」
順「あわわ!」
順平は急な出来事にどうしたらいいのかと慌てていた。
荒「何でお前が・・・持ってきちまうんだよ。」
公「せ、先輩・・・。」
するとこんな時に真田が戻ってきた。
真「風呂の前に飲み物飲まないと・・・えっ。」
手に持っていたタオルを落としてしまう。
順「あ!!い、いや、これはっ!」
真「何やってんだ・・・シンジ。」
荒「・・・。」
真「・・・何やってんだって聞いてんだよ!」
荒垣は公子から体を離す。
荒「アキ・・・お前・・・そろそろ素直になれよ。」
真「・・・。」
荒「じゃねぇと・・・俺が貰っちまうぞ。」
公「もらっ!」
公子の顔は真っ赤に染まる。
真「・・・ふざけんな!」
荒垣の胸ぐらを掴む真田。
順「あわわわ!」
真「俺だって・・・必死で・・・。」
荒「・・・。」
公「や、やめてくださいよ!」
その騒ぎにみんなが降りてくる。
桐「どうした!?」
順「あ、みんなぁ・・・。」
荒「どうする・・・俺を殴るのか。」
真「・・・。」
荒「・・・もう一度いう。お前がいらねえってなら・・・俺が貰うからな。」
真田は握りしめる手に力が入るが、パッと荒垣を離した。
降りてきたみんなをかき分け、自分の部屋にもどってしまった。