スコール夢小説★完結★
□魔女アデル
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べ「ううっ。」
ベリンダは椅子に座り、涙を流していた。
《乗組員はベルトを締め着席してください。》
その警報音にシートベルトをしめる。
べ(なんで泣いてるの・・・馬鹿なんじゃないの私。)
ベリンダの涙は無重力でふわふわと浮いていた。
すると部屋の扉が開いた。
ス「ベリンダ!!」
べ「・・・スコール?・・・なんで。」
急いで涙を拭く。
ス「こんな所で何してるんだ!」
べ「・・・2人を助けにきたけど、入れる空気じゃなかったから。」
ス「・・・泣いてるのか?」
べ「泣いてなんかない・・・目にゴミが入っただけよ。」
しかし、どんどん涙が溢れてきてしまう。
そんなベリンダの顔を見て、今までの色んな人のセリフが頭に流れる。
ア『スコールはさ、自分の昔の気持ち覚えてない?覚えてないんだ・・・残念だな。』
サ『ママ先生。こいつ、ママ先生との約束守れてません。ははは!そらみろ!だから俺はスコールがユウキを守るなんて無理だって言ったんだ!』
イ『今は思い出せなくても、スコールが本当に大切な事に気づけば・・・きっと思い出せますよ。』
そして・・・
ス『・・・僕、ユウキの事が・・・好きみたいなんだ!だからね・・・ずっと、僕のそばにいてほしい。これからユウキの事守れるくらい強くなるから。立派な大人になるから!』
べ『わかった。私何があってもスコールのそばにいる!私もスコールの事大好き!』
イ『ちゃんとユウキのこと守ってあげてね、スコール。私と約束できる?』
ス『出来る!』
ス「ベリンダ・・・。」
スコールはベリンダを優しく抱きしめた。
べ「・・・なんで。」
ス「・・・約束しただろ・・・ずっと俺のそばにいてくれるって。」
べ「スコール・・・。」
スコールは全て思い出したようだ。
ス「俺の気持ち、あの時から変わってない。記憶は無くなっても・・・ベリンダといると楽しかった。それが証拠だ。」
べ「でも・・・。」
ス「忘れてて・・・悪かった。」
べ「スコール・・・!」
ベリンダは先ほどより多い涙を流した。
しかし、ベリンダはグッとスコールを突き放す。
べ「何言ってんの・・・今のその役はリノアでしょ。いつの話してるのよ。」
ス「・・・リノアは確かに大切だ。けど、それは恋とは違う。」
べ「違くないよ・・・それはスコールが気づいてないだけ!」
ス「ベリンダ・・・。」
スコールの心はざわついた。
ベリンダに告白したことも忘れ、リノアと踊ったり、自分の意思ではないが指輪を渡したり、ベリンダにひどいことをしてきた。
今までの胸のざわつきは罪悪感だと気がついた。
《只今よりエスタ方面に向けて着陸態勢をとります。まだ着席していない乗組員はシートベルトを締め、着席してください。》
ス「とりあえずこっちに来てくれ。話の続きは地上に戻ってからしよう。」
スコールはベリンダを連れて、リノアがいるコックピットへと向かう。
リ「ベリンダ。」
べ「・・・元気になったんだね!よかった。」
リ「・・・うん。ありがとう。」
ベリンダは操縦席と少し離れた席に座る。
すると、無線が入る。
「こちらエアステーション。ラグナロク応答せよ。」
ス「ラグナロクだ。」
「いくつか質問がある。我々は脱出ポッド回収作業をしている。事件のことはだいたい把握している。」
べ「・・・。」
「そちらの人数を教えてくれ。」
ス「3人だ。」
「あんた、名前は?」
ス「スコールだ。バラムガーデンのSeeD。」
「あとの2人は?」
ス「同じくSeeDのベリンダ、そしてリノアだ。」
「リノア!?魔女だな?魔女が乗ってるんだな!?」
ス「魔女・・・。」
リ「私・・・魔女になっちゃった。スコール達と一緒にいられない。」
べ「リノア・・・。」
するとリノアはシートベルトを外し、スコールに抱きつく。
リ「でもね・・・本当のこと言ったら・・・怖いよ、スコール。」
「応答せよ!ラグナロク!魔女は帰還次第封印する!」
ス「封印・・・。」
抱き合う2人を見てベリンダは静かに目の前にあるモニターをいじる。
「聞こえているのか!?ラグナロ」
プツンと通信が切れる。
べ「うるさいから切っとくね。」
ス「・・・そろそろ地上に戻る。シートベルトを締めろ。」
リ「・・・うん。」
機体がガタガタ揺れ始めた。