楠雄夢小説 ★完結★
□恋
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梨「斉木先輩いる!?」
昼休みにやってくる一年生の女子。
「え?斉木は・・・いないみたいだよ。」
蛍(あれ、さっきまでいたのに・・・。)
教室を見渡す蛍。
しょんぼりして帰って行く梨歩田。
蛍(かわいいなあの子・・・斉木くんやっぱりモテるんだなぁ。)
楠《おい。》
蛍「は、はい!!」
声を出して立ちあがる蛍。
灰「ど、どうしたんだい!?」
近くにいた灰呂が驚く。
蛍「あ、いや。ね、寝ぼけてたみたい。ごめんね!」
そう言って人気がないところへ走って行く。
楠《だ、大丈夫か?》
蛍《う、うん。》
楠《今、梨歩田が来ただろ?》
蛍《あの可愛い子のこと?》
楠《あぁ。彼女は照橋さんに対抗心を持ってる。僕に好意を寄せてると知った梨歩田は先に手に入れようと必死なんだ。》
蛍《そうなんだ・・・。》
楠《もちろん彼女とも付き合う気はない。君に協力してほしいんだ。》
蛍《いいけど・・・何をすればいいの?》
楠《その・・・キミに彼女のフリをしてもらいたいんだ。》
蛍《か、彼女!?》
顔がどんどん赤くなる蛍。
蛍《で、でも。私で・・・いいの?》
楠《・・・き、キミがいいんだ。》
テレパシーで顔が見えないのでなんとか言う事が出来た。
楠《い、嫌なら・・・いいんだが。》
蛍《そ、そんな事ないよ!わかった!協力する!》
そして、放課後。
梨歩田は下駄箱前で待ち伏せしていた。
梨(ふふふ!逃さないわよ!)
待ち伏せする梨歩田の横を素通りする楠雄。
梨(えええ!!?素通り!?)
そんな楠雄に話しかけようとする。
すると後ろから蛍がやって来て楠雄の腕を取り組み始める。
蛍「ねぇ楠雄くん。今日はどこに行く?」
楠『蛍の好きなとこならどこでもいいぞ。』
そんな二人に驚く梨歩田。
梨(え、斉木先輩彼女出来たの!?)
あわわと慌てる。
そんな事より、蛍と楠雄はそれどころではなさそうだ。
蛍(し、心臓の音聞かれてないかな。)
楠(ち、近すぎないか・・・。)
頬を染める二人。
梨「斉木先輩!その人って先輩の彼女さんですか!?」
楠『あぁ。』
梨「じゃあ、×××もしたんですか!?」
そのセリフに顔を真っ赤にする二人。
蛍「そ、そんな事急に聞かないでよ!」
梨「えー!だって恋人同士ならして当たり前ですよねー!」
蛍「そ、その。」
梨「そうだ!よく顔見せてくださいよ!」
梨歩田は蛍のメガネを取る。
楠『お、おい!』
梨「う、うっふ。」
蛍の素顔を見て固まる梨歩田。
梨(何この人!照橋先輩程ではないけどすごく可愛いじゃない!!)
蛍「あの・・・め、メガネ返してくれる?」
梨「あ。は、はい。」
素直にメガネを返す梨歩田。
蛍「じゃあ、行こうか楠雄くん。」
楠『あぁ。』
二人はぎゅっと恋人つなぎをする。
梨(あれ、なんでだろう。斉木先輩に彼女がいるって知っても全然悲しくない。)
そうかと自分の気持ちに気づく。
梨(私、別に斉木先輩の事好きじゃなかったんだ!)
楠(うまくいったな。)
すると、こちらに照橋が向かってくる。
蛍《さ、斉木くん!照橋さんが!》
楠《くっ、どうする。もう、照橋さんにも言ってしまうか。》
蛍《で、でも!》
梨「こっちよ!」
梨歩田は蛍と楠雄をロッカーへ隠す。