楠雄夢小説 ★完結★

□想い
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クリスマスの夜、蛍が夜道を歩いていると楠雄が公園のブランコに座っていた。

蛍「あ、斉木くん。」

話しかけようと近づくが、歩みを止める。

蛍(あ、一人にしてあげたほうがいいか。)

おそらく誰にも捕まらないように、避難しているのだろうと察した。

音を立てずにゆっくりと帰ろうとする。

楠《そこで何してる。》

蛍「おわ!!」

そっと歩いていたのに楠雄は気づいていたようだ。

蛍「じゃ、邪魔してごめんね。私もう帰るから!」

楠『別に・・・君ならいい。』

そんな言葉にドキッとする。

楠『座ったらどうだ。』

蛍「う、うん。」

楠雄の隣のブランコに座る。

キィというブランコの音が夜道に響く。

蛍「あ、そうだ。」

ビニール袋から何かを取り出す。

蛍「これ、食べる?」

蛍が取り出したのはアイスクリームだった。

楠『冬にアイスクリームか・・・。』

蛍「寒い日だからこそ食べたくならない?そのアイス美味しくてさ。欲張って2個も買っちゃった!」

楠『せっかく買ったのに・・・悪いな。』

蛍「2つも食べたら太っちゃうし・・・だから食べて!」

楠『・・・ありがとう。』

二人でもぐもぐとアイスクリームを食べる。

アイスが美味しいのか幸せそうに食べる楠雄。

蛍はそんな楠雄の顔を見て微笑んだ。

すると楠雄の体がブルブルと震える。

蛍「あ、寒くなっちゃった?」

楠『いや、違う・・・海藤の奴がこっちに近づいている。』

その言葉に蛍も千里眼をすると、こっちから不穏な空気を感じたとワクワクしながらこちらに近づいていた。

楠『そんなに不穏な空気を感じたいのなら感じさせてやる。』

そう言って超能力で生暖かい風を海藤に浴びせる。

すると、嬉しそうな顔をしながら逆方向へと向きを変えて歩いて行った。

楠雄はふぅと一安心したようだ。

蛍「海堂くん、相変わらずだね。」

楠『・・・迷惑な中二病だ。』

やれやれと首を振る。

楠『それより、君は予定はないのか?』

蛍「え?う、うん。今日はお父さんもお母さんも家にいないんだ。だから一人でアイスクリームでも食べよっかなって。」

楠『二人とも出かけているのか。』

蛍「うん。共通の友達が北海道に引っ越すらしくて、朝までさよならパーティーするんだってさ。だから今日は私一人。」

楠『そうか。』

すると再び楠雄の体が震える。

蛍「ど、どうしたの?」

楠『なんだか嫌な予感がする。またあいつら・・・。』

楠雄は立ち上がり公園をうろうろと歩き悩み始めた。

蛍「そ、それならさ。」

その声に振り返る楠雄。

蛍「みんなが家に帰るまで・・・私の家に避難する?」

その言葉に楠雄は頬を染めた。

楠『い、いや。君に悪い。』

蛍「私なら・・・大丈夫だよ。」

楠雄はしばらく悩む。

しかし、嫌な予感はおさまりそうにない。

楠『・・・でも、いいのか?』

蛍「・・・うん。」

楠『・・・悪いな。』

二人は蛍の家にテレポートをした。
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