桐生夢小説

□集結
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芽「ん・・・。」

気がつくと朝になっていた。

芽「・・・んんん!」

拓海を探すがどこにもいない。

芽依はなんとか起き上がり、机を揺らす。

するとペン立てが倒れ、カッターが落ちてきた。

芽「・・・んん。」

なんとかカッターを取り刃を出す。

少しずつ確実に縄を切っていく。

芽「んんん!」

なんとか縄を切ることができ、口の布も解く。

足の縄もほどき外へ行く準備をする。

芽「・・・私に覚悟が足らなかったから・・・ごめんね、拓海。」

芽依は神室町へと急いだ。

久々の神室町。

芽「変わってないな・・・。」

芽依が街を散策すると、見覚えのある人物が大勢の男達と戦っていた。

芽「・・・秋山さん・・・。」

そしてその後ろで戦っていたのは。

芽「一馬・・・さん。」

桐「オラァァ!」

芽「・・・どうして。」

おそらく桐生一馬だということを隠して生きてきただろう。

その男がこの街で暴れていた。

そんな事をすれば、もう堅気の世界には戻れないだろう。

芽依は自然と桐生の方へと向かっていた。

秋「ずいぶん人数多いね。」

桐「それくらい相手も本気なんだろ。」

秋「そりゃそうか・・・あっ!桐生さん後ろ!」

桐「くっ!」

隙をつかれた桐生。

後ろの男は金属バットを振り上げていた。

芽「はいっ!!」

「ぐえっ!」

そのバットは振り下ろされる事なく男と一緒に地面に落ちていった。

桐「・・・なんで・・・。」

その男を倒した人物を見て驚く桐生。

秋「あんたは。」

芽「お久しぶりです。秋山さん・・・桐生さん。」

桐「こんな所で・・・何をしてるんだ!」

芽「・・・話は後にしませんか?今はこいつらを倒さないと・・・でしょ。」

秋「・・・確かに。」

桐「・・・。」

3人は男たちを倒していった。

秋「はぁ、はぁ・・・ホント、タバコやめとくんだったな。こんなんだったら。」

桐「はぁ・・・はぁ。」

芽「ふぅー。」

秋「そういや、冴島さんと品田・・・どうなってますかね?」

芽「品田?もしかして、品田辰雄さんですか?」

秋「え?あぁ、そうだけど・・・もしかして知り合いかい?」

芽「まぁ・・・。」

桐「それよりなんでここにいる・・・答えてもらうぞ。」

芽「・・・。」

芽依は全てを話した。

桐「なんだって・・・拓海が?!」

芽「ごめんなさい・・・私、どうしても離婚届・・・出せなくて。」

桐「・・・。」

芽「・・・遥ちゃんやアサガオのみんな・・・拓海の為にも・・・一馬さんの気持ち・・・受け止めたはずだったのに。」

芽依は涙を流した。

桐生は下唇を噛む。

芽「ごめんなさい・・・。」

何度も謝る芽依をぎゅっと抱きしめた。

懐かしい匂いがした。

桐「・・・謝るのは・・・俺の方だ。俺だって・・・本当は芽依と・・・離れたくなかった。」

芽「・・・。」

桐「拓海と一緒に・・・アサガオで過ごしたかった。」

芽「・・・。」

桐「そんな気持ちを勝手に捨てて・・・違う人物で過ごしてきたというのに・・・こうしてまた・・・桐生一馬として・・・神室町に来てしまった。」

芽「・・・。」

桐「すまない・・・芽依。」

芽「・・・一馬さん・・・。」

抱きしめ合う2人。

秋山はタバコを吸い始めた。
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