桐生夢小説
□娘
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力「姐御!!」
芽依の家のドアをドンドン叩く。
芽「うるさいわね!急に何?」
力「親父が大変なんです!」
芽「どういう事?」
力「実は・・・。」
昨日の夜から咲がいなくなり、組員全員で探しているが見つからないようだ。
芽「えっ!咲ちゃんが?!」
力「それで、怪しいのが実の母親でして・・・お嬢なんか今までほったらかして男と遊んでたくせに、急に探してるみたいなんです。」
芽「母親が・・・。」
力「本当に酷い親なんです!そんな奴の所にお嬢が行っちまったら・・・また苦しい思いをするだけだってのに。」
芽「・・・咲ちゃんから連絡は来ないの?」
力「お嬢は昔から話すことができないんです。父親が首吊ってるのを見たせいだと医者が言ってました。」
芽「・・・咲ちゃん。」
力「それで、その事が原因で親父が荒れちまって・・・女性のいう事なら聞くんじゃないかと思いまして。お願いします!親父を落ち着かせてください!」
芽「・・・わかった。とりあえず話してみる。」
力「あ、ありがとうございます姐御!」
芽「その姐御ってのはやめてよ。」
芽依は走って事務所へ向かった。
芽「あの・・・名嘉原さん?」
名「おっ!誰かと思えば空手家のねーちゃん!一緒に飲もーや!」
名嘉原と芽依を見守る力也と幹夫。
芽「あの・・・力也くんから聞きました。咲ちゃんの事。」
名「あの野郎、余計なこと言いやがって。それ聞いてなんで来たんだ。」
芽「お酒なんて飲んでないで、咲ちゃんを探しましょうよ。私も手伝いますから。」
名「・・・探す必要なんてねぇ。」
芽「どうして?」
名「咲は・・・俺と一緒にいるのがいやで出ていったんだ。」
芽「え?」
名「俺が探しにいったら怖がらせるだけだ。」
そう言って泡盛をグビグビと飲む。
芽「そ、そんな事ありませんよ!名嘉原さんと一緒にいたいはずです!」
名「うるせぇ!!チラッとしか咲を見たことないお前に何がわかるってんだ!」
そう言ってちゃぶ台をひっくり返す。
芽「名嘉原さん。」
名「帰れ!!お前に話すことはねぇ!」
芽「咲ちゃんは」
名「出てけって言ってんだ!」
一升瓶を投げる名嘉原。
力「姐御でもダメか・・・おい、幹夫。何かあったら親父を止めてくれ。俺は桐生の兄貴を呼んでくる!」
幹「は、はい!」
力也はトラックを走らせた。