桐生夢小説

□引越し
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芽「えっ!立ち退き?!」

桐「あぁ。だから、こいつらに話を聞こうと思ったんだが。」

芽「どういう事なの!?」

力「すいません!ですが、親父が決めた事なので。」

芽「じゃあ、その組長さんに会わなきゃ行けませんね。」

桐「そうだな。」

力「は、はい!今すぐに!幹夫!先に行って親父に知らせておけ!」

幹「はい!」

幹夫は走って事務所へと向かった。

桐「じゃあ、俺はこいつらの組へ行く。」

芽「わたしも連れていってください!」

桐「ふっ・・・いつものお節介か?」

芽「そうです!お願いします!」

桐生は芽依を連れて行くことにした。

琉道一家の事務所の一室へ案内される。

2人は畳に座り、組長を待つ。

しばらくすると組長の名嘉原 茂がやってきた。

名「あんたらが高柳さんと桐生さんか。うちの力也が可愛がってもらったようだな。」

桐「あんたに話があって来た。」

名「あー、立ち退きの件だろ?」

桐「そうだ、どうして俺らが立ち退かなきゃならないのか・・・訳が知りたい。」

すると名嘉原は縁側で絵を描く少女に話しかける。

名「咲、おい咲!」

咲「・・・。」

名「ちょっと、この人たちと話があるんだ。部屋に戻っててもらえるかな?」

咲はチラリと2人を見て、部屋へ入った。

芽「咲ちゃんは、組長さんのお子さんですか?」

名「あぁ。まぁ、娘って言っても3年前に引き取ったんだがな。」

芽「そう・・・なんですか。」

名「それより、立ち退きの話だろう?アンタには悪いことをしたと思ってる。だが、仕方のねえ事なんだ。」

桐「話を聞かせてくれ。」

名嘉原の説明はこうだ。

アサガオがある土地は、元々琉道一家のシマだった。

最近じゃ住宅街になって人伝に土地を又貸ししてた。

だが、急に買い取りたいという話が来たのだ。

あの土地一帯丸ごと買ってリゾート施設を作るようだ。

しかもその横には米軍基地を増設するという大掛かりな計画だ。

芽「そんな!あさがおの子供たちや今住んでる人達はどうしろっていうんですか!」

名「悪いとは思うが、別の場所に移動してもらいたい。もちろん金なら少しは工面させてもらう。どうだ、悪い話じゃねえと思うが。」

桐「理由はわかった、だが断る。」

名「あ?なんだと!?」

桐「それは極道の勝手な都合だろう?そんな事で振り回されたあいつらはどうなる?俺はな、ここで施設をやっているうちはあいつらをそういう目に合わせたくねぇ・・・話は終わりだ。帰らせてもらう。行くぞ、芽依。」

名「おいコラァ!ちょっと待て!」

桐生と芽依は立ち止まる。

名「沖縄で生まれて60年。内地から来たガキに説教されるほど老いぼれちゃいねぇ。」

そう言って壁にかけてあった刀を取り出す。

桐「あんた、本当にそれでいいと思ってるのか?」

名「あぁ?!」

桐「今ここで俺を殺して、子供たちを追い出して・・・あんたそれで満足なのか?」

名「・・・。」

桐「沖縄のことを愛しているのなら、俺たちを立ち退かせるよりももっと他に考える事があるんじゃないのか?」

名「・・・。」

桐「あんたが暴力で向かってくるなら構わない。そん時はこっちも手加減ナシにやらせてもらうぜ。」

2人は琉道一家を後にした。
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