桐生夢小説

□沖縄
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沖縄に着きホテルに荷物を置く芽依。

芽「養護施設はこっちだと思うんだけど。」

地図を見ながら進んでいく。

芽「あっ。」

ようやく見つけた、養護施設あさがお。

子供たちの楽しそうな声が聞こえてくる。

芽「・・・どうしよう。覚悟してきたのに・・・緊張してきた。」

深呼吸をして自分を落ち着かせる。


狭『何言ってんの!世界一の空手家でしょ!?臆病なわけないじゃない!』

伊『またマイナスなことを考えるんだな。世界一の空手家はどこに行ったんだ、ん?』

みんなの言葉によしっと頷き、あさがおへ向かった。

「お姉さんだぁれ?」

芽「あ、こんにちは。私、東京から来た高柳 芽依っていいます。」

「こんにちわ!!」

「あ!わかった!おじさんのお友達でしょ?」

芽「あ、うん。お友達なの。桐生さんはいるかな?」

「ううん!遥お姉ちゃんとお買い物に行ってる!」

芽「そっか。」

「そこに座って待ってればいいよ!」

女の子が指差す先は施設の縁側だった。

芽「でも、いいの?」

「うん!」

芽「ありがとう。」

芽依はそこに座って待つ事にした。





遥「芽依さん元気かなぁ。」

桐「あいつの事だ、きっと大丈夫さ。」

遥「・・・ねぇおじさん。」

桐「ん?」

遥「ここにくる前に薫さんに言われたこと・・・どう?」

桐「・・・。」

桐生は狭山と別れる時のことを思い出した。




狭『そういうことだから。』

桐『わかった。お前も頑張れよ。』

狭『・・・ありがとう。』

桐『じゃあな。』

そう言って立ち去ろうとする桐生を呼び止める。

狭『待って!』

桐『なんだ。』

狭『あなた・・・私に会うより前に好きだった子がいない?』

桐『・・・それがどうした。』

狭『その子には告白したの?』

桐『・・・いや。』

狭『・・・まったく。いくじがないわね。』

桐『おい・・・さっきからなんの話を。』

狭『あなたには幸せになってもらいたい。安心してあなたを任せられるのはその子しかいないの。』

桐『・・・。』

狭『芽依さんなら今日は予定がないって言ってたわ。』

桐『薫・・・お前。』

狭『勘違いしないで。私がここを去るのとその事は全く関係ないから。』

桐『・・・。』

狭『私、これから芽依さんにお別れを言いにいく。まだ仕事もあるし、喋っても30分くらいかな。』

桐『・・・。』

狭『あの眼帯ヤクザに芽依さんを取られたら承知しないんだからね!』

遥『薫さん・・・。』

狭山は遥の頭を撫でる。

狭『また会いましょう。その時はお友達として。』

桐『・・・わかった。』

その返事を聞くと狭山はにっこり笑った。
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