桐生夢小説

□出会い
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高柳 芽依、27歳。

やっとの思いで神室町に整体院を開業した。

芽依の才能はすぐに街中に拡がり、今や人気店だ。

芽「お待ちしておりました。」

もちろん、神室町という事もあるので極道の人達がくる事もある。

「いやぁー!肩がスッキリしたよ!ありがとな!」

芽「いえ、お身体には気をつけてくださいね。」

「おう!また痛くなったら来るよ!」

ニコニコして帰る男。

受付の女性に話しかける芽依。

芽「私ね、ああいう人がニコニコして帰ると凄く嬉しいんだ。」

「え?」

芽「普通のサラリーマンじゃあんな肩こりしないもの!」

目を輝かせる芽依に苦笑いをする従業員。

「院長、本当にマッサージ好きなんですね。」

芽「うん!そうじゃなきゃこんな所に整体院なんて開かないわよ!」

(自分でこんな所って言っちゃったよ。)

芽依はマッサージオタクと言っても過言ではないくらいマッサージが好きだった。

色々なマッサージの資格も持っている。

すると奥から別の従業員の悲鳴が聞こえる。

「か、勘弁してください!」

「うるせえ!!余計に痛くなったのはお前のせいだぞ!!」

「だ、だってそこを押せってしつこく言うから・・・。」

「あ!?なんだてめぇ!!俺に歯向かうのか!?」

芽「お客様!失礼ですが、他の方の迷惑になりますので。」

「い、院長!」

「お前が院長か?評判良いから来てみたら、お前の従業員のせいで余計に痛くなっただろうが!あぁ!?」

顔を近づけるヤクザ。

芽「申し訳ございません。お代は結構です。」

「金の問題じゃねえ!!ナメてんのかぁ!?」

そう言って芽依を殴ろうとするヤクザ。

芽「・・・。」

ヒョイっと避ける芽依。

「あ?」

何度も何度も殴ろうとするが避けられてしまう。

「ハァ・・・て、てめぇ!」

そう言うと銃を取り出す。

「女を撃つ趣味はねえが、俺を馬鹿にした・・・ってあれ?」

いつの間にか目の前から消えた芽依。

ヤクザが後ろを振り返ると、芽依が一撃をくらわす。

「ぐえ!!」

その場に倒れる。

「くっ。なんて・・・女だ。」

ふと顔を上げると、壁に飾ってある芽依の写真の他にたくさんのトロフィーや表彰状が並べられていた。

「か、空手世界大会優勝?」

そのヤクザの身体に細い影が映る。

芽「これ以上暴れたら警察呼びますよ?」

「ぐっ!」

男は立ち上がり逃げるように店を去っていった。

「あ、あ、ありがとうございます院長!」

芽「いいえ!もう、何かあったら非常ボタン押してって言ってるじゃない!」

この街でやるからには色々面倒な事があると、従業員一人一人に非常ボタンを持たせていた。

「き、恐怖でそのこと忘れてました・・・。すみません。」

芽「・・・まぁ、あなたが無事ならそれで良いけど。男なら腰なんか抜かさないでしっかりしなさいよ!」

ヤクザ相手に強気でいられるのは院長だけだろと全従業員は心の中で思った。
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