真田夢小説(ハム子)★完結★

□別れ
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ある日の夜、荒垣は1人ソファに座っていた。

公「荒垣先輩1人ですか?ならご飯でもどうです?」

荒「・・・なんで俺なんか誘うんだよ。」

公「え?」

荒「他にももっと・・・アキとかと食いに行けばいいだろ。」

公「・・・先輩とも行ってますよ?」

荒「うっ・・・。」

公「で、どうなんですか?」

荒「・・・わかったよ。」

荒垣はソファから立ち上がるが、止まってしまう。

公「先輩?」

荒「今日は・・・どっか行くのはやめてここにいねえか?」

公「えっ?」

荒「そっち座れ。」

荒垣は再びソファに座る。

公子も言われた通り目の前のソファに座る。

荒「・・・何か話せよ。」

公「・・・じゃあ、楽しい話でもします?」

荒「そうだな、それがいい。」

公子はたくさん話した。

順平が授業中、居眠りをして叱られたこと。

風花が炊飯器でお粥を作ったこと。

何気ない日常の話をした。

荒「ははっ・・・そうか。」

いつもと変わらないように見えるが、寂しそうにも見える。

荒「話、終わりか?」

公「・・・はい。」

荒「いいだろ、もっと話せ。アンコールだアンコール。」

荒垣は笑っていた。

公「・・・じゃあ、真田先輩の天然の話なんてどうですか?」

荒「おっ、それ頼む。」

荒垣は公子の話を聞き続けた。

荒「楽しいみてえだな、毎日。お前はそうやって笑ってんのが似合う。」

公「えへへ、そうですか?」

荒「・・・泣いたりすんなよ。」

公「え?」

荒「お前は、笑ってろ。」

そう言ってうつむいてしまった。

公「先輩・・・何かあったんじゃ。」

しかし荒垣は何もないの一点張だ。

荒「何も置いていかねえようにしないと、いけねえんだがな。迷いも・・・未練も。」

公「置いてく?」

荒「忘れんなと思ったり、忘れろと思ったり・・・欲しいとか、欲しがるなとか・・・身勝手だな、俺は。」

公「・・・そんなことないですよ。」

荒「・・・・・なぁ。身勝手ついでに、俺のわがままを聞いて欲しい。」

公「なんですか?」

荒「俺を許さなくていい・・・けど、他は全部、許してやってくれ。」

公「・・・何のことですか?」

荒「後でわかる・・・今はもう少し、このまんま・・・いつも通りみてえのがいい。」

公「先輩・・・。」

おそらく何かあったのだろう。

だが、公子は深く聞くのはやめた。

公「・・・そうだ!この間のゆかりの話まだしてなかった!聞いてくださいよ先輩!」

荒「・・・あぁ。」

視線を落としていた荒垣が公子をみて微笑んだ。

しばらく話すと時間を気にし出した。

荒「もう遅い時間か?あー、時計なかったんだ。」

公「時計?」

荒「どっかに無くしてきた。もうオンボロの懐中時計だ。昔、ある人にもらった。・・・しょーもねーな。」

公(古い懐中時計か・・・。)

荒「んで?続きねえのか?お前の話がもっと聞きてえな、あんだろなんか。」

公子は荒垣が満足するまで話した。
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